観光客のキャンセルは10万人

韓国を追いつめるのは、外交問題だけではない。今回のMERS騒動は、国家経済や社会にとっての"死刑宣告"になりかねないほどの影響力があるのだ。
『悪韓論』の筆者であり、時事通信社のソウル特派員を務めた室谷克実(むろたにかつみ)氏も、韓国がこうむるであろう被害を、こう解説する。
「かつて朴大統領は、中国と日本からの観光客を"金の卵を産むガチョウ"と酷評まじりに例えていましたが、その"ドル箱"の観光客が減っては、国内景気への打撃は大きい。ただでさえ、国内消費が低迷しているのに、外貨を獲得する手段が減るわけですから」

実際、韓国旅行大手のハナツアーでは、中国の北京と上海を出発し、6月4日から11日まで韓国を旅行するツアーに参加予定だった約300人の予約がキャンセルされた。
「中国人の間では韓国旅行がブームでしたが、6月だけで中国人観光客のキャンセルが10万人にも上るとの予想も出ています」(旅行代理店社員)

加えて、韓国は、GDP(国内総生産)における輸出の割合が5割近い"外需依存国"である。だが、
「輸出頼みの国ですから、ウォン高は時間とともに企業の体力を奪います。韓国の財閥企業トップの現代自動車でさえ、経費3割カットを打ち出したことが、多くを物語っています」(前出の室谷氏)

かつては1社でGDPの2割を占めていたサムスン電子も、スマホなどの主力製品がほぼ壊滅。他の輸出業種も大半が大不振に陥っている。これらが失業率悪化や若者の就職難となって顕在化しているのだ。
「若者に限れば失業率が50%前後のスペインやギリシャでは、暴動も勃発。このままでは、韓国で同様の事態がいつ起こってもおかしくありません」(前出のデスク)

経済的な困窮は、人の命をも奪っていく。
「OECD(経済協力開発機構)加盟34か国で、高齢者貧困率の平均は11%前後だが、韓国は48.1%と断トツの1位。そのため、高齢者の自殺が増え、韓国の自殺率は、10年連続でOECD加盟国中1位を記録するほどです」(同デスク)

日本に対してのみならず、世界中に惨状を曝け出している韓国。もはや、韓国国民も朴大統領に冷ややかな目を向けている。
「韓国の世論調査会社が5日に発表した朴大統領の支持率は、前週から6ポイント急落し、34%に。逆に、不支持は8ポイントも増えて、55%に跳ね上がりました」(同デスク)

昨年の「セウォル号事故」に、「ナッツ・リターン事件」の傷も癒えないうちに襲い掛かった今回のMERS騒動。
18年2月までの任期を残しながらも、もはや"死に体"とも言える朴大統領の断末魔の叫びが聞こえてくる――。

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