なぜ「藪」に「砂場」? 老舗蕎麦店の意外な店名の由来の画像
なぜ「藪」に「砂場」? 老舗蕎麦店の意外な店名の由来の画像

江戸時代から庶民の食べ物として親しまれてきたそば。それだけに古い店は数多いが、その中でも三大老舗と言われているのが「更科」「藪蕎麦」「砂場」だ。都内にも数多くあるので、実際に食べたことのある人も多いだろう。

ところで「更科」はまだしも、「藪」も「砂場」という屋号は、どうにも飲食店らしくない。その語源はなんであったのか、調べてみた。

「藪蕎麦」はもともと本郷にあった「つたや」という店がルーツと言われている。そこに竹藪の茂った広い庭があったことから「藪」という愛称で客に呼ばれるようになり、暖簾分けされた時に正式に「藪蕎麦」とつけられたのだ。つまり客につけてもらった屋号というわけ。ちなみに暖簾分けは古い順に「かんだやぶそば」、「並木藪蕎麦」、「池の端藪蕎麦」となっている。「藪蕎麦」を名乗るお店は数多いが、ほとんどはこの3つからの暖簾分けだ。

そして「砂場」は三大老舗の中では最も古く、16世紀の後半、場所はなんと大阪にそのルーツを持つ。ある菓子店がそば屋を始めたのだが、その場所が大阪城を作った時に使う砂を置いていた所だったことから、「砂場」という愛称がつき、屋号として定着したのだ。江戸名物のそばなのに、そのルーツは大阪だったのだ。その後、「砂場」は江戸に場所を移し、暖簾分けによって店を増やして、今に至る人気店になっている。「藪」も「砂場」も、客のつけた愛称が由来というのが面白い。

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