――「路上プロレス」の他に、DDTならではの趣向はありますか?

ディーノ ワタシもそうなんだけど、選手のバラエティーの豊富さは他のどの団体と比べても勝ってると自負してるわ。

――例えばどんな選手が在籍しているのでしょうか。

ディーノ ヨシヒコですかね。彼はルックスがちょっと変わってて、パッと見、まるで空気で膨らませたビニール人形のような選手なんだけど、れっきとしたDDTの所属選手で、ちゃんと試合もするんですよ、しかも武道館クラスの大会で、どの選手にも負けない支持を集めるのよね。

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地獄の墓堀人・ヨシヒコvs飯伏幸太。途中、9連発カナディアン・デストロイを繰り出すなど、人間離れしたアクロバティックな動きと、無尽蔵のスタミナで天才・飯伏をこらしめた名戦。死闘の末、飯伏のフェニックス・スプラッシュからの片エビ固めで惜しくもピンフォール負けを喫した。


ディーノ あと特徴的なものといえば、タレントさんとの試合カードがよく組まれるってことがDDTでは多いわね。まぁ、そちらに関しても「シロウトをリングに上げやがって」的な批判はあるとは思うケド、でもそう思ってもらわないと、実は何にも引っかかってくれないって方が問題なワケで。普通にスルーされるようになったら、それはそれで先が見えないもの。

――しかし普段、格闘技をやっていない方々との試合は相当にハードルが高いものだと思うのですが。

ディーノ そういう人たちとの試合をきちんと成立させる、我々はそういう仕事のプロだとおもっているわ。その点のスキルがズバ抜けて長けた団体だと思ってもらって結構ね。今までのプロレスってさ、どんな突飛なカードでも、あらかじめ成立したもの同士が戦ってきたものだったと思うのね。でも私たちDDTというのは“成立出来ない”“成立しない”であろうカードをどうにか成立させることで意外性を産んできたの。DDTというのはその仕事ができる唯一の団体であって、その面白さが支持されているのであれば、そのことがプロレスのひとつの正解のカタチなんじゃないかって思ってるわ。今のところ、だけどね。

――他にはどのような選手が所属しているんですか?

ディーノ あとは、先日W-1という団体のCEOに任命されて経営を任されているウチの大社長の高木三四郎。この人がすべてを許すから私みたいなレスラーもいるわけ。あとは、正統派でいえば、新日本プロレスと2団体に所属している飯伏幸太、HARASHIMA、KO-D無差別級王座のKUDOといった選手ね。

――人材でいえば、DDTには若手選手が充実している印象があります。

ディーノ 現役高校生でプロ入りをした竹下幸之介もそうだけど、若い人たちがDDTを志してくるパターンが多くなってきたわね。さらに言うと、志してくる人たちの毛色が10年前とは格段に違ってきてる。最近では相撲出身の樋口和貞や、総合格闘技やってました、なんて子もいてね。……うちの団体のどこに総合格闘技の要素があるのよとか首を傾げつつも、いろいろな層から好まれてるみたいで有り難いですね。

――そんな選手層の厚さもあり、DDTは現在では両国国技館や日本武道館での大会も成功させる大きな団体となっていますが、ディーノ選手から見た、DDTの面白さとは?

ディーノ さっきも言ったように、どんなものでも成立させてしまうという懐の広さじゃないかしら。観ている方もいまじゃ許容範囲がものすごく広がってしまっているワケよ。と、なるとね、次はナニをナニするんだ? というね、そういう試合がようやく出来るようになってきた。お客さんが「どの要素を放り込まれてくるんだ?」って構えてるところに、プレーヤーとして趣向をぶつける。そういう駆け引きの面白さが楽しめる団体ってところかしらね。まぁ、我ながら上手くいきすぎちゃって、素直に受け入れられてしまうと逆にやりにくい部分もあるけど、大きくなったら大きくなったなりの苦悩があるわよね、ホント。


取材◎ライターゐりゑ

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