映画やドラマで流れるスタッフロールを見ていると、たまに「特別出演」や「友情出演」なんて肩書きがついていることがある。最近のドラマで言えば、TBS系で放送されている『天皇の料理番』がその一例。佐藤健主演のこのドラマは、郷ひろみが24年ぶりに民放連続ドラマに出演することも話題になったが、そこには(特別出演)というカッコつきの言葉が添えられている。

数多くの出演者が名を連ねる映画やドラマで、どうして「特別」や「友情」を謳う出演者がいるのだろう? と、疑問に思ったことのある人もきっと少ないはず。

「特別出演」は、制作者側が出演者のプライドに配慮した“苦肉の策”とでも言うべき手段。

役者の世界には「格」というものが存在し、ドラマや映画のスタッフロールで出演者の名前が流れる順番は出演者の「格」で決まることが多い。

これがハッキリと目に見えるものでないだけに、いろいろ面倒な事態が生じてしまう。事務所や出演者自身が「同じ出演者の○○より先にしろ」「一番最後にクレジットしろ」などの要求をつきつけてくることもよくあるのだとか。

しかしそこに「特別出演」という肩書きが加わることで、状況は少し変わってくる。視聴者に対して「この方は主役級の俳優さんではありますが、今回は特別に出演していただきました!」とアピールすることで、多少序列が低いと見なされそうな位置にクレジットがあったとしても、「まぁ許しておいてやるか」となる効果があるのだ。

また、ドラマや映画には台詞や出番がそれほど多くないものの、大物を起用しないと締まらない役というのも存在する。そんなチョイ役に大物を使いたい場合にも、しばしば「特別出演」が使われる。「台詞の少ない役にもかかわらず、こんな大物に出演していただきました!」とアピールすることで、大物俳優の顔を立てることができるというわけである。


対する「友情出演」は制作者や他の出演者と個人的な繋がりを持つ俳優が、お願いされてチラッと出演した場合に使われる。そのためギャラも、「特別出演」が通常より高いケースが多いのに対し、「友情出演」は格安もしくはノーギャラだったりするようだ。

もっとも「友情出演」のすべてが個人的な友情によるものとは限らず、事務所繋がりの「友情出演」であることも少なくない。この場合、「友情」より「バーター」といったほうが適切だろう。

ちなみに海外映画でよく使われる「カメオ出演」は、存在感のある大物がほんのちょっとだけ出演することを言うようだ。

本日の新着記事を読む