「お金がない人は計算しすぎ」

「こちらが捕まってから、詐欺、詐欺、詐欺ばっかりでしょ。ニュースがね。世の中、お金一色ですから、お金になることなら何でもやっちゃう。でね、私の例で言いますと、天声を聞く身として申し上げると、やっぱり、それを正すには"頭を取りなさい"。それしかない。騙そうとか儲けようというのは、全部首から上の計算ですから。だから、儲けようと思うと、お金が身につかない。お金持ちはお金が寄ってきた結果で、その人の器。大きさですよね。お金がないという人は、計算のしすぎという解釈なんですよ。損得計算のしすぎ。あー、得したな、儲かったなって。騙した場合は、罪ですよね。罪悪感持ってますから。罪悪感がある以上、必ず人生上で罰せられる。必ずしっぺ返しを食らう。騙すのは勝った、儲かったように見えますが、必ず吐き出すときが来る。そのとき、吐き出すのは2倍3倍なんですよ。100万儲かったっていうと、300万、500万、必ず出すときがくる。これが法則ですよね」

実は福永氏自身も、詐欺の被害者だった。
自らが立ち上げた弱電関係のメーカーを経営していたときのことだ。自社ビルを建て、経営も順調だったが、大きな落とし穴が口を開いていた。

「まさに詐欺師ですよね。不渡り手形1枚持ってきて、うちの工場の商品を全部持ってったんですから。それがですね、ちょうど手形の金額と倉庫にあった商品の値段が一緒なんですよ。3日後に銀行から緊急電話が来て、"社長、3日前の手形、不渡りですよ"って言われたときに、"エッ"て我に返りましたね。なんの疑いもなかった。天狗だったんでしょうね。あのとき34歳ですから。うまくいってるいってる、よしよし。自社ビルもできたしね。でも、1億ちょっとでしょうか。引っかかって全部終わって。それまでは従業員も取引先も社長、社長、だったのが、倒産した、不渡りが出たとたん、金返せ! 給料出せ! でしょ。180度違う。34歳が一人、こちら側に座って、反対側に取引先も社員もバーッと並んで、それでもう圧倒されたというか、"給料出せよー!"って、それまで聞いたこともない言葉で言われて。もう最後は自殺しかないですよね。自殺なんて想定したこともないですけど、生きる資格はないなと思って。でも、それでもって、天の声を聞いたんです」

『法の華三法行』の原点が、詐欺被害で追い詰められたことだったとは意外だが、現在でも、詐欺のネタは枚挙にいとまがない。
1つは、高齢者には関心が高い老人ホームをエサにしたものだ。
「入居枠が当たったと電話がかかってくる。申し込みをしていない、と言うと、"では名義を貸してくれ"とか、"申し込みを知らないのは名義貸しの証拠"などと"名義貸しは犯罪だ"と脅し、解決金名目で金を奪う。被害者は判明しただけで全国で100人近く、被害額は6億円以上とみられています」(警視庁詰め記者)

20年開催の東京五輪も詐欺のネタになる。
「まず『東京五輪開会式特別予約販売』で1席10万円で売る、というパンフを郵送し、その後"1席40万円で買いたいが持ってないか"と電話する。10万で買って40万で売れば30万儲かる、と10万円を振り込んでも、現物が届くことはない、という寸法だ」(事情通)

五輪のチケット販売は19年2月頃の予定で、チケットが出回っているなどというのは真っ赤な嘘。欲が人の目を曇らせるのだ。

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