監査前日に放置書類を隠蔽!

さらに、業務改善を妨げるのが典型的な"お役所体質"だ。若手職員C氏は、人気ドラマ『半沢直樹』(TBS系)のワンシーンのような光景を目撃したという。
「本部の監査が行われる前日には、棚に入らずに放置していた書類などは、見つかってはまずいからと、わざわざ倉庫へ隠しにいっていました。さすがに本部も怪しいと思ったのか、以前は監査の日程を通知していましたが、今は抜き打ちで行われるようになりました」

問題があれば、その対策を考えるのが先決なのだが、同機構の職員にとっては保身が大事なのだ。また、ベテラン職員のD氏は、こう話す。
「お恥ずかしい限りですが、ついこの間まで、誰が申請書類を受理して誰が処理したのか、担当者の氏名が分からなかったんです。つまり、ミスしても、責任が問われない仕組みになっていました」

今回の流出事件に関しても、驚きの出来事があったという。
「4日になって、すべてのメールのやりとりを禁止するという通知が本部からメールで届いていたんです。メール禁止を通達しておきながら、なぜ自ら規則違反をするのか、理解できません」

そのメールには、標的型メールへの対応マニュアルが添付されていたという。
「恐らく、厚生労働省から標的メールの対応を職員に周知徹底するよう指示が出ていたんでしょう。情報管理より、厚労省の顔色を気にして、周知徹底したという形を装うため、規則違反覚悟でメールしたんですよ」

こうした体たらくに日本弁護士連合会(日弁連)などからは、安倍政権が10月に導入を予定しているマイナンバー制を懸念する声も出始めている。
「全国民に通知される12ケタの個人番号によって年金どころか、税金、雇用保険、健康保険など、すべての情報がガラス張りになります。すでに導入済みの米国では、情報流出による犯罪被害額は年間約500億ドルとの政府調査があります。現在のようなお役所仕事が続けば、日本でも多くの被害者が出ることは必至でしょう」(前出の全国紙記者)

ズサンな仕事のツケを国民だけに払わせる――これも安倍首相の言う"美しい国"のあり方なのか。

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