栄養のバランスに優れた食事

洋食のメニューは明治維新後、皇室が率先して取り入れた経緯もあり、大膳課では今でも独特の用語が使われている。
サラダをフランスふうにサラドと発音するのは前述したが、コンソメスープは清羹(せいかん)、パンは麺麭(めんぽう)、キャベツは甘藍(かんらん)といった具合だ。
「厨司の間では、タマネギは正確に1センチ角に、ニンジンの千切りは1本でも太さが違ったらやり直しというルールがあったそうです。これは見た目を良くするだけではなく、火が均等に回るようにするための工夫でしたが、ジャガイモに至っては、まっすぐ転がるほど丸く剥(む)くのだとか」(女性誌皇室担当記者)

また、昭和天皇のお食事は1日1800キロカロリー、塩分は1日10グラムまでと厳格に定められていたそうだ。

こうして見ると、天皇陛下のお食事は質素ながらも栄養のバランスに優れていることがわかる。
「旬の野菜は栄養価が高く、ビタミン、ミネラルも豊富です。和洋の食事を交互に取ることは、バランスのいい食生活を習慣づけるために効果的です。糖分控え目で高タンパク、低カロリーなのも素晴らしい。青身魚に含まれるEPA、DHAには心臓疾患を予防し、高血圧を防ぐ効果があるし、麦ご飯は白米よりもビタミンと食物繊維が豊富。たいへん理に適った食生活と言えますね」(前出の牧氏)

今日からでも、すぐに真似してみたいものだ。

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