海や川で溺れた時に命を守る方法「UITEMATE」とは?の画像
海や川で溺れた時に命を守る方法「UITEMATE」とは?の画像

ウォータースポーツの季節がやってきたが、海や川で楽しく遊んでいても、水難事故が起きたら台無し。消防庁によると平成24年度の水難事故件数は3745件。うち1101件で死亡者が出ている。およそ4分の1の確率で溺死するわけだ。

万が一、溺れたらどうすればいいのか? キーワードは『UITEMATE(浮いて待て)』。一般社団法人水難学会が提唱している着衣水泳のこと。水難学会長で長岡技術科学大学の斎藤秀俊教授が提唱し、一般に広がっている水難事故対処法だ。基本は背浮き。海や池を覗き込んでいて水に落ちたり、貝を拾っていて波にさらわれるような場合、靴を履き、服を着た状態であることがほとんどだ。服も靴も浮力があるので、そのまま力を抜き、大の字になって水面に浮かぶ。服を着ているとよほどの水泳上達者でも、水の抵抗で泳ぐことはできない。そこで服を脱ごうとするが、水を吸った服は脱ぎにくく、無駄な体力を消費する上に浮力を減らすことになる。服は脱がず、泳がず、力を入れずに水の上に浮かぶことを第一に考える。

溺れている人を見つけても、水に飛び込むようなことはしてはいけない。素人が助けようとして二次被害を起こす可能性が高いのだ。ロープなど救命具がある場合はそれを投げたり、ペットボトルが手元にあれば、それを投げ渡す。ペットボトルの中身を捨ててフタを閉めると浮きの代わりになる。子供であれば、500mlのペットボトルでも十分に背浮きをする助けになる。

『UITEMATE』は水難事故に遭った場合の標準的な生命維持の動作として、国際的に評価されており、水難学会が作成したマニュアルは他国でも利用されている。溺れたら、パニックにならずに背浮きすることを老若男女を問わず、頭に入れておこう。

余談だが、溺死した人のことを土佐衛門と呼ぶのは、溺死体のぶよぶよと膨らんだ様子が享保年間の力士、成瀬川土佐衛門と似ていたからという説や太った男のことを土仏(どぶつ)と呼んだことからそれがなまったなど諸説ある。今夏は十分に気をつけて、よもやご自身が土佐衛門になりませんように。

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