7月20日から開幕する新日本プロレスの「G1クライマックス」。

知らない人に説明すると、新日本プロレス最強の選手を決定する真夏の祭典のことだ。

第1回が開催されたのは1991年。まだ伏兵の評価だった蝶野正洋が優勝し、その感動とサプライズが語り草となった。それまで新日のサプライズといえばスキャンダラスで刺激的な「猪木風味付け」オンリーだったけれど、ファンはその健全なフィナーレにも興奮した。闘魂三銃士が激闘を讃えあい、笑顔で締めた。リング上に猪木も長州もいないその風景は新時代を感じさせた。

第1回を見て衝撃を受けた私は、両国国技館7日間連続開催の年などはカプセルホテルに泊まり込んですべて観戦した思い出がある。

それほど、G1クライマックスは新しかった。魅力的だった。「すべての選手が平等」なのだ。G1をむかえるとすべてがリセットされ、誰にでも優勝のチャンスがある。観戦者は真夏に新鮮な気持ちになる。G1クライマックスは複数スター制の時代が生んだ大ヒット企画なのだと思う。
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