若手選手にも熱心に指導致します。あるチャクリキ・ジャパンの若手選手にアドバイスを開始したジェロム。「お前は映画『ロッキー』を観た事があるか?」横で聞いていた私は「んんん、何言ってるのジェロム?」です。

お構い無しにジェロムは続けます「ロッキー2で○○のトレーニングシーンがあるだろう? あれが○○で○○で…」と、ずっと映画『ロッキー』の話をしておりました。アドバイスが正鵠を射ているかどうかは解りませんが、ジェロムが『ロッキー』を大好きな事だけはよく解りました。

2011年の年末には、現在の奥さんであるメリッサさんにタイでの試合後、リング上からプロポーズしたというジェロム。きっと気分は「エイドリアーン!」だった筈です。


基本的にフランス人なのでロマンチストですよね。

ある時にジェロムと奥さんとノブ選手と私とで一度、南麻布の「鉄板焼acalli」という店で食事をしました。この店はトム会長のお気に入りの店でもあります。ノブ選手の白血病が快方に向かっている事をジェロムは大変喜んでくれ、その後、年末のGLORYではノブ選手がジェロムのセコンドを務める流れとなりました。

食事後、ホテルに戻るジェロムと奥さんのために私がタクシーを止めようとすると、ジェロムは「ノン!」と言いました。

聞き取り辛いジェロムの英語に耳を傾けると「今夜は月がとっても綺麗だから、彼女と二人で月を観ながら歩いて帰る」という、恐らくそういう意味の言葉を残し、奥さんと手を繋いで帰ってゆきました。

ノブ選手と「いやぁ、ジェロム、ちょっとかっこいいですね」「ああ、かっこええなぁ。せやけどホテルかなり遠いで。大丈夫かな?」という話をしながらノブ選手と私も帰路につきました。

数日後に聞いたら、ジェロムもホテルまで思ったより遠いのに気が付いて、やはりタクシーを拾って帰ったそうです。結局、恰好付けなんですけど、憎めない好漢です。

昨年7月、ジェロム・レ・バンナ選手はチャクリキ・ジャパン古河代表、相澤宏使師範と大森ゴールドジムにて定期トレーニングを行っておりました。身体の大きい相澤師範はジェロムやピーター選手のミットパートナーとして重宝されております。

練習後、大森駅へ向かって横断歩道を歩いていたジェロムと相澤師範の目前で、駅から逆方向に横断歩道を渡っていたおばあさんが転んでしまいました。それを見たジェロム選手はおばあさんに一目散に駆け寄り、「ダイジョウブ? ダイジョウブ?」と何度も聞き、手を繋いで、自分の行く方向とは逆側に歩き出し、おばあさんを目的の歩道までエスコート致しました。



これを見ていた相澤師範が慌ててスマホで撮った一枚がこの写真です。この写真がゴング格闘技のTwitterで紹介されると大反響を呼び、フジテレビの「めざましテレビ」でも紹介されました。ジェロム・レ・バンナの「男気」を端的に示すエピソードです。

また、忘れられないのが、数年前にジェロムが地元フランスでの興行に特別ゲストとしてシルベスター・スタローン氏を招いた事です。

これには奥さんのメリッサさんが結婚前にハリウッドで仕事をしていた事が切っ掛けとなったようです。メインイベントでジェロムは強豪相手に見事王座を防衛。スタローン氏にベルトを巻いてもらう姿が世界中に配信されました。

この大会後にジェロムが来日した際、「ジェロム、お前とロッキーを写真で見たぞ!」と声をかけると「オー、イエス、イエス、イエス、グレイト!」と少年のような満面の笑みで返してきたジェロム選手。やはり筋金入りのロッキーファンでした。

本当にジェロムの事を書き出すとページがいくらあっても足りません。それほど愉快で男気がありエピソード盛り沢山の好漢です。また機会を見てジェロムのこと、書いていきたいと思います。

甘井もとゆき
PROFILE
1967年4月22日生まれ。ドージョーチャクリキ・ジャパン株式会社 代表取締役。オランダ・アムステルダムを本拠地とする格闘技道場の名門ドージョーチャクリキの日本代表。日本人選手のマネージメント、外国人選手の招聘、自主興行の開催などを通じ、ファイティングスポーツの世界に携わっている。
ドージョーチャクリキ・ジャパンHPhttp://www.chakuriki.jp/
フェイスブックhttp://www.facebook.com/motoyuki.amai
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