支持率急落…沸騰する「安倍降ろし」大暗闘スッパ抜きの画像
支持率急落…沸騰する「安倍降ろし」大暗闘スッパ抜きの画像

稀代の悪法か、激動の時代に不可欠な新法か――“平成の安保闘争”は新たな局面を迎えている。その内幕とは…!?

「今国会最大の焦点である安保関連法案(以下、安保法案)の取り扱い次第では、一気に政局に突入しますよ」(全国紙政治部デスク)

発足以来、わが世の春を謳歌していた安倍政権に暗雲が垂れ込めている。政治評論家の浅川博忠氏が言う。
「国民の"安保法案は一国会で軽々に決められるような法案ではない"との声が日増しに高まっており、安倍政権はこれを無視できなくなってきているんです」

それは、支持率急落となって表れた。朝日新聞の世論調査(6月20、21日実施)では、前回調査(5月16、17日)の45%から危険水域の30%台に急降下(39%)。第2次安倍政権発足以来最低の数値を見せたのだ。ちなみに、保守系として知られる産経新聞の調査でも、前回から7.6ポイント急降下して支持率は46.1%に。第2次安倍政権発足後、2番目に低い数字を記録した。

泣きっ面に蜂――支持率低下に拍車をかける事態も頻発している。
日本年金機構のサーバーがサイバー攻撃を受けて約125万件もの個人情報を流出した一件も、安倍政権に対する不信を招いた。
次いで安保国会で首相が民主党の辻元清美議員に放った「早く質問しろよ!」のヤジ。このヤジでは、安倍首相の一国のリーダーとしての資質に疑問符がつけられることとなった。

追い打ちをかけたのが、「憲政史上最悪」(民主党幹部)の声も上がった中谷元防衛相の「(違憲との声がある安保)法案に憲法を合わせていけばいい」(6月5日、衆院平和安全特別委員会)発言だった。安倍政権重要閣僚の一人が、あろうことか憲法と法律のどちらが上位かの分別もついていないことが判明。国会招致した3人の憲法学者が異口同音に、「安保関連法案は違憲」と唱えたのも痛恨だった。

とどめが、安倍親衛隊を自認する自民党の若手議連勉強会での問題発言。大西英男衆院議員の「(政権を批判する)マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなるのが一番」「経団連などに働きかけよう」という発言は、特に非難されている。これを受けてマスコミ各社は一斉に反発。安倍政権は"針のむしろ"状態となった。

それでも安倍政権は、延長した今国会期末(9月27日)までに安保法案を成立させる腹積もりだという。官邸詰め記者が解説する。
「首相は、(今週の)7月15日の衆院(平和安全)特別委員会で同法案を採決するつもりです。翌16日には衆院本会議を通過させ、参院に送るのが既定路線。参院は衆院よりも野党の勢力が強いため、"法案の審議が不十分"などの理由で野党が採決に応じない可能性があります」

その場合に噂されているのが「60日ルール」である。衆院を通過した法案が参院に送られ、60日が経過しても参院で法案が採決されない場合、衆院に差し戻され、3分の2以上の賛成で法案が可決するというもの。
「自公で325議席を押さえる衆院での可決は簡単。今国会期末は9月27日ですから、仮に衆院通過に来週いっぱいかかっても、60日ルールで法案を成立させることが可能なんです」(前出の官邸詰め記者)

ただ、安倍官邸は会期末ではなく「9.18」の法案成立を目論んでいるという。自民党関係者が明かす。
「会期末ギリギリに成立させると、どさくさで無理やり通した感が出てくる。目標は9月の連休前の"9.18"近辺。法案成立直後に連休に入り国民はレジャーにいそしむため、強行採決になっても政権へのダメージが少ないとの判断です」

しかし、支持率が急落し、国民の反発も日増しに大きくなっているにもかかわらず、首相はなぜ安保法案成立をゴリ押しするのか?
「軍拡を進める中国との安全保障上の緊張が念頭にありますが、対外的には4月の訪米の際、米議会で"この夏までに(同法案を)成立させる"と発言してしまったことが大きい。これはいわば"対外公約"ですから、もし果たせなければ退陣するのが筋です。ただ、法案をゴリ押しで成立させても支持率低下は免れない」(前出のデスク)

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