スターダムはすさまじいスピードで昨日が遠ざかっていく
――団体の顔として、下の選手たちを引っ張る立場だというのは、リングの外から見ていても十分伝わってきます。今年2月に後楽園ホールで事件が起きたあの日(世IV虎 vs 安川惡斗の一戦における顔面殴打事件)、会場が騒然となっているなか、和田京平レフェリーから「オマエが(その場の雰囲気を)締めろ」って耳打ちされてましたよね?
イオ そうですね、確かに言われました。
――あのときの心境はどのようなものだったのでしょうか。
イオ あれは京平さんに言われる前から、私自身そのつもりだったんです。その時は、自分がお客さんの前に立って言わないとダメだって。だから、京平さんには背中を押してもらったんですよ。
――あの事件を乗り越えて、スターダムは速度を増したというか、団体として更にカタチを変えたと思いますが。
イオ お騒がせしてしまったことに関して、本当に申し訳なく思っています。私たちもそれを望んでいたわけではなく、でも起きてしまって……。今回、そういうピンチがあると人間って成長するんだって実感しました。人間ってそこが逞しくて、自覚ってものがそういうところから生まれてくるんですよね、自分がどうにかしなきゃっていう。
――なるほど。今後、スターダムはどうなっていくんでしょう?
イオ いまのスターダムは毎日毎日が変化の連続で、すさまじいスピードで昨日が遠ざかっていってるんですよ。この数ヶ月、ものすごい速度なんですけど、ようやく気後れせずについていけるようになったんですね。現王者の宝城カイリや、私のパートナーである岩谷麻優とか。彼女たちの火事場のクソ力というか、成長力って目を見張るものがあって、ホントに面白いんですよ。たとえば宝城カイリが、女子プロレス界の女帝といわれている里村明衣子選手(センダイガールズプロレスリング代表)とメインイベントで対等にやりあって、試合後に大仁田厚選手ばりのマイクで締めているんです。そして、お客さんが笑顔になって……。そんな光景を2月に、いや三ヶ月前ですら、誰も想像してなかったですよね。
――今後、イオ選手が目指していく場所は?
イオ とりあえずダントツ世界的トップの女子プロレス団体にしたいですね。具体的な目標でいえば、女子プロレスの試合を地上波に乗せたいというのが、ひとつの分かりやすい目標です。そこからブームを起こしたい。スターダムならそれが出来ると思っているので。
取材◎ライターゐりゑ
紫雷イオ
1990年5月8日、神奈川県生まれ。2007年3月に実姉・美央とともに「紫雷姉妹」としてデビューを果たす。数々の団体にフリーとして参戦後、2012年よりスターダムに所属。器械体操の経験を活かした華麗な空中技を武器とし、スターダム初の5大王座を制覇。ニックネームは「天空の逸女」。
■7月26日に後楽園ホールで行われる「STARDOM×STARDOM2015」大会で姉・紫雷美央との3年ぶりのタッグマッチを発表。
チケットなどの詳しい情報はオフィシャルサイトへ!
http://wwr-stardom.com/