今井さんとハッピーなお酒を

――いつくらいからなんでしょう?

大河内 ハタチになる前くらいからですから、約20年になりますね。共通の知り合いのお店があって、そこに行くと、今井さんと遭遇する確率が、とても高かったんです。私は、今井さんのことを存じ上げていましたけど、おそらく今井さんは最初、私のことを、ただの若いお姉ちゃんと思って接していたと思うんです。でも、私がお酒の飲める年齢になって、飲みながら色々とお話をさせていただくようになった、といった感じです。

――今井さんのお酒は、どんな感じだったんですか?

大河内 飲み方は本当に豪快でした。でも、お酒っていうのは、ハッピーなものなんだっていう考えを持っていらして、とにかく楽しそうに、ずっとあの笑顔で大きな声で笑ってる。

――熱く、演技論を語られたりは?

大河内 演技論とか、ちょっと説教めいたお話は、一切ないんですよ。酔うとそうなっちゃう方、いらっしゃいますけど(笑)。もちろん演技にはものすごい情熱をお持ちなんですけど、価値観を人に押しつけるようなことはなくて、"今度、こういうことを考えているんだ"とか、そういうお話を、うれしそうに話してくださいましたね。

――格好いいですね。

大河内 お酒の飲み方と、お芝居を楽しんでやるということを、身をもって教えてくれた、いいお兄ちゃんというか、親戚のおじさんみたいな飲み仲間でした。お会いするのは、ほぼそのお店だったんですけど、それだけにお亡くなりになった実感が湧かなくて。今でも、またふっと現れるんじゃないかって思っちゃいますね。

――とてもステキな関係だったんですね。

大河内 同じ作品に出演したことは以前もあるんですけど、そのときも一緒のシーンがなくて。結局、一度もお芝居で絡んだことがないんですよ。残念です。

――では、今後は今井さんのぶんも、お仕事を頑張っていかないといけませんね。

大河内 そうですね。自分の代表作と言えるような作品を一本でも多く作れたらと思います。

――大河内さんの代表作というと、やはり04年のドラマ『牡丹と薔薇』が、パッと思い出されます。

大河内 ありがとうございます。

――数奇な運命に翻弄される姉妹のドロドロ愛憎劇。小沢真珠さんの狂気の演技と、大河内さんのイジメられっぷりが、大変な話題になりましたね。

大河内 よく覚えているのは、撮影が本当に過酷だったこと。人間って、毎日、睡眠時間が2時間でも、3か月くらいは大丈夫なんだとか、そういうことに、いくつも気づかされましたね。あれを経験したので、他のことで大変だと思うことがなくなりましたから。

――小沢さんとは、戦友みたいな関係でしょうか?

大河内 そうかもしれませんね。撮影中は、飲みに行くこともできなかったんですけど、終わってから2人で旅番組のロケに行かせてもらったときは、本当にいろんなことが話せましたね。いつ寝たのか、お互いに覚えていないくらい楽しくて、最高の思い出ですね。

――今も、交流が?

大河内 ありますよ。その後も、バラエティ番組やドラマで共演もありますし、彼女も去年、ママになったので、共通の話題も増えましたし。うちの息子にも、「会いたい」って言ってくれているんです。

――まだ実現はしていないんですか?

大河内 そうなんですよ。でも実は、彼女の出産前にチャンスはあったんです。ただ、偶然、テレビで『牡丹と薔薇』のワンシーンが流れたのを、息子が見た直後だったんですよ。

――あららら。

大河内 それが、真珠が私に灰皿を投げつけるようなシーンで、「あのお姉ちゃん、悪い人だね」と言って怒っていたので、とりあえず見送ったんですよ(笑)。

――アハハ! 彼が『牡丹と薔薇』を理解するのは、時間がかかりそうですね。

大河内 でも、そうやって、今も話題にしていただける作品に出られたことは、女優として、幸せなことだと思っています。

――今後、何か具体的な目標はありますか?

大河内 具体的……ではないかもしれませんが(笑)、結婚も離婚も育児も、自分が経験したこと、感じたことのすべてが、お芝居の表現としてつなげられる、女優さんというお仕事ができて、本当に幸せだと思っているんです。これからもいろんな経験をして、演技の幅を広げていけたらいいなと思っています。


"大人の女"としての色っぽさと"ママ"としての包容力が、絶妙にブレンドされた美女。坊やに怒られない範囲で、大人な演技も見せてくれませんか?

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