中韓の"反日姿勢"に差異が

さらに、前出の宮崎氏は「実は株価暴落以前からも、中国は方針転換を図っていた」と言う。
「中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に、日本にも参加してもらいたいという思惑あってのことです。日本が入ればAIIBの信用力がグッと高まり、影響力も増しますから」

それゆえ、なんと日本へ大接近しているのだという。
こうした変化は、外交の現場にも表れている。
「安倍晋三首相と習近平中国国家主席は、昨年11月の北京APECと、今年4月のアジア・アフリカ会議中に首脳会談を行っていますが、態度の違いは歴然。APECのときの習主席は、苦虫を潰したような表情でしたが、アジア・アフリカ会議のときは笑顔で、安倍首相に自ら握手を求めていました」(外務省担当記者)

近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているか』(PHP新書)がある、拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏は、中国の方針転換について、次のように背景を語る。
「これには、中国が米国との関係悪化を防ぐための"脱露入米"という大転換が根底にあるんです。それがハッキリしたのが、今年1月に行われた、中国の李克強首相とウクライナのポロシェンコ大統領との会談。それまで、ロシアに配慮して、ウクライナに対する態度を鮮明にしていなかった中国ですが、初めて"ウクライナの主権と領土の保全を尊重する"と発言したんです」

その結果、わが国への対応も改めたというわけだ。
「加えて、2月には中国人観光客の日本での"爆買い"が、中国内でも話題を呼びました。これにより、"国民は反日を唱えながらも、心はすでに日本人を認めているのではないかとの見方が広がった。このことは我々の外交宣伝、教育の失敗を意味している"と、中国のある外交官OBは、関係修復の動機を語ってくれました。9月3日の中国の『抗日戦争勝利70周年記念行事』は政治色を弱めるのは間違いないでしょう」(富坂氏)

こうした動きを最も恐れているのが、中国との"反日タッグ"を貫き、安倍首相との首脳会談も実現していない、韓国の朴槿恵大統領だろう。
「韓国経済は中国経済以上に深刻な状態です。不況の象徴として今年の正月からタバコの1本売りが行われています。日本と同じ1箱400円ですが、それでは買えない国民が多いんです」(韓国事情通)

普段はゴリゴリの反日を掲げる韓国マスコミの姿勢にも変化が……。
「アジア・アフリカ会議では、安倍首相の演説に"歴史へのお詫び"がなかったことから、韓国マスコミは安倍首相をボロクソに批判しました。しかし、その直後に習主席はニコニコしながら首脳会談しているんですから"我々は孤立してしまった!"と半狂乱だったといいます」(宮崎氏)

そんな窮地にもかかわらず、韓国には方向転換しにくい要素が多いという。
「中国の反日教育が本格化したのは、天安門事件の問題をすり替えるためで、それから約20年しか経っていません。一方、韓国は戦後70年ずっとです。そもそも中国は政治的に反日を唱えて来ただけ。その点、韓国は倫理的な罪を追及しているから、1000年経とうが変わらないとの指摘もある。慰安婦像建設に見られるように、反日急先鋒の在米コリアンロビーの影響力が強く、その点もネックです」(宮崎氏)

"反日タッグ"の終焉を決定づけた、中国のバブル崩壊。対応を改めない限り、隣国の孤立は明らかだ。

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