ベースサプリが長生きの基本

目が疲れているときは、それ用のサプリを飲めばバチッと効果が現れるのか?
そう単純な問題ではないと指摘するのは、『サプリメントバイブル』(枻出版社)の著作がある『つくばアソティック・フーズ』代表取締役の神﨑良太郎氏だ。
「特定の部位に対して効果が期待できる栄養を摂取することで、その機能を回復するという方法は間違ってはいません。ところが、"肝臓にいい"としてオルニチンだけを摂取する、"目の疲れを癒す"としてブルーベリーのサプリだけを摂取しても、効果が現れないかもしれないんです」

じゃあ、どうすれば?
「演劇に脇役が必要であるように、成分が効果を発揮するには、それを生かす脇役、つまりビタミンやミネラルなどの栄養素が必要で、これは"ベースサプリメント"と呼ばれています。サプリメントはあくまで食品。薬であれば単一成分だけでも効果を期待できますが、それとは違います」(神﨑氏)

ベースサプリメントの代表例は「マルチビタミン」や「マルチミネラル」。「マルチ」=「複数の」という言葉が示す通り、場合によっては、一つの錠剤に20種類以上ものビタミンやミネラルが含まれており、まずは、これを摂取するべきだという。
「いきなり特定の効能をサプリに求めるのではなく、まずベースサプリメントで体の"メンテナンス"をしっかりしたうえで、他のサプリを摂るべきです。その際も、単一の栄養素を摂るよりは、"免疫系"や"循環器系"など、栄養素が複合的に入っているものを選択するといいでしょう」(神﨑氏)

つまり、「マルチビタミン」「マルチミネラル」を飲みながら、肝臓が気になるなと思ったらオルニチン単体のサプリではなく、「肝機能アップ」や「肝臓サポート」などと謳う商品をセカンドサプリとして飲用すべしということ。
もちろん、具体的な症状の改善を望む場合でも、単体の成分に頼らず、幅広い栄養成分が配合されている商品がよさそうだ。

では、中高年男性が健康維持のため、長生きするために飲むべきサプリとは、いったい何なのか。神﨑氏は、こう続ける。
「50歳以上になると、体の変化で気になるのが代謝の低下。ですから、代謝を促進するサプリを摂るといいでしょう。それから、"脳のメンテ"も重要です。脳は、たとえるならオーケストラの指揮者。いくら団員(体の部位)の演奏がうまくても、指揮者が呆けていたら、どうしようもありません」

前述したように、単一成分だけを摂っても劇的な効果は望めないので、代謝や脳の活性化を謳うサプリがオススメだ。
まずは、ベースサプリ。次いで注目すべきは、謳い文句と覚えておこう。

一方、
「サプリを選ぶ際には、まずは医薬品のマルチビタミンをオススメします」
と、やはり神﨑氏と同様のアドバイスをするのは、『サプリメントの正体』(東洋経済新報社)の著者であり、医療機関専用サプリメントメーカー『ヘルシーパス』代表取締役の田村忠司氏だ。選択時の注意点を、こう続ける。
「薬との飲み合わせの問題もありますから、必ずパッケージの裏に表示されている原材料や栄養成分を確認すべきです」

グレープフルーツと降圧剤を併用すると、血圧が下がりすぎる危険があるのと同じで、基本的には「食品」であるサプリは、種類によっては薬が効きすぎたり、効果を阻害したりするケースがあるという。

田村氏は「だからこそ、専門家に相談して、どのサプリを買うかを決めるのが一番」と言うが、そこまでするのが面倒なら、せめてホームページなどで原材料を確認しておきたい。
こうして、買うべきサプリが決まったら、次に問題になるのが、その価格。安すぎるサプリは不安だし、逆に高すぎると手が出ないのが人の心というものだ。
田村氏は目安として、「医薬品の栄養素が取り引きされる価格を考えると、30日分で2000~6000円が適正価格では」

では、価格がほぼ同じで、原材料なども似通っている場合、輸入品と日本製のどちらがいいのか?
「外国製はその国で生活する人の食生活に合わせて作られたもの。日本人なら、やはり日本製のほうがいいでしょう」(前出の神﨑氏)

他方で、サプリはいつ飲むべきかという問題もある。
「吸収率を考えると食前がベスト。さらに理想なのは、一日で飲む量を朝・昼・晩の3回に分けることですが、それができない場合は夕食前がいいでしょう。また、夜寝ている間に代謝が行われ、体が作りかえられますから、就寝前も非常に効果的です」(同)

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