話を戻しましょう。僕が高校3年の時、一瞬ですが、「甲子園に行けたら」という“夢”を抱きました。その理由は高校2年と3年の春季大会に優勝したからです。

春のセンバツは秋季大会の結果で出場校が決まります。よって、春季大会はセンバツには直結しません。そのためか、春季大会は全国大会がなく関東大会までで終了。「春を制するモノは夏も制す」ではありませんが、地区大会優勝の本命候補です。春に神奈川を制したことで甲子園が至近距離になった、というわけです。

ところが、チーム全体を見回すと練習、生活態度ともにチャランポラン。とても、甲子園を目指す状況ではありません。正直、僕は「こんないい加減なことをやっているチームは甲子園にいけないし、いってはいけない」と、すぐに目が覚めました。

そこで僕は、甲子園は 無理かもしれない、ならば、 練習試合から予選から、とにかくチャンスで打って目立つことを考えたのです。

「俺はヒーローになるよ!  打ってやる!」

3番打者だった僕は、「有言実行」で初戦の第一打席をホームラン。それからも打ち続け、チームは神奈川県大会の準決勝まで駒を進め、そこで「チームの夢」は消えました。

ベスト8…かなり微妙ですが、空中分解寸前のチームだったので、ベスト8まで進めたのは正直、評価に値するところでしょう。
地区大会で敗北し、ほとんどのナインは涙を流しましたが、僕はキッと前を向いたままでした。「次! 次!」と、高校で果たせなかった夢を次のステージで返していこう、と考えていたのです。

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