史上最低の東大中退ライターうっかり馬之助 酔いどれボート奮戦記
ギャンブル必勝法にもふと気付くと良いのになぁ…


年月を経て、人はふと気付くことがある。

昔、アタシが小学校低学年の頃、近所に恐いオバアサンが住んでいた。歳の頃は70歳手前くらいだろうか。
彼女の家には、5、6歳の子供が2人いて、アタシら近所の悪ガキ連とよく一緒に遊んでいたのだが、その2人が何かの拍子に泣き出すことがあった。

すると、その声を耳にしたオバアサンが長い竹竿を持って、アタシらを追いかける。

「誰や~、泣かせたんは」

そのときの表情はかなり恐かった。アタシらは必死で逃げた。麦畑のウネの間に身を潜めたこともあった。
当時は困ったバアサンだと思っていたが、彼女の年齢に近づいてきた今、その大変さがしみじみ分かるようになった。

あの2人の子供はおそらく彼女の孫だろう。両親は都会に出稼ぎに行ったのかもしれない。 孫を預かったオバアサンは、2人が健やかに育つように必死だったのである。

そんな事情などおかまいなく、孫を泣かせてしまう近所の悪ガキたち。オバアサンは力の限り、悪ガキを追いかけた。
逃げたアタシらも必死だったが、彼女も必死だったのではないかと、先日ふと思い付いたのである。
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