夏の風物詩、冷やし中華は由緒正しい和食だった!の画像
夏の風物詩、冷やし中華は由緒正しい和食だった!の画像

暑さも本番となると、食べたくなるのが「冷やし中華」だろう。実際には梅雨入りする前の5月中旬くらいには『冷やし中華はじめました』の張り紙を出す店が多いが、キリッと水で締めた中華麺に、野菜、ハム、錦糸卵など、色とりどりの具をのせ、酸味が効いてサッパリしたタレで食べる「冷やし中華」が美味しくなるのはこれからだ。

「冷やし中華」の発祥には諸説があって、もっとも有力とされているのが、宮城県仙台市青葉区錦町の「龍亭」で、1937年に発売された「涼拌麺(りゃんばんめん)」だという説。当時は冷房がなくて、夏場はラーメンの売り上げが激減していた。その対策として、水洗いした中華麺にキャベツ、キュウリ、ニンジン、トマトといった野菜とチャーシューをのせ、鶏ガラスープに醤油と酢で作ったタレをかけた麺料理を開発したそうだ。
もうひとつが、東京都千代田区神田神保町の「揚子江菜館」で、1946年に発売された「五色涼拌麺」という説。こちらは、細切りにした具材を中華麺の上に山形に乗せた盛り付けが、富士山に似ていると人気なった。現在の冷やし中華の盛り付けは、この富士山スタイルが原型だとされている。

つまり、名前に「中華」とついているものの、「冷やし中華」は中国発祥ではなく、実はれっきとした日本料理なのだ。これには、茹であがった中華麺を素早く冷やして締めるために、キレイな水を豊富に使える日本の風土と、さらに冷たい麺料理が一般的でなく、冷たく酸っぱい食べ物を腐っていると感じてしまう、中国の食のお国柄からも裏付けすることができる。

ちなみに、コンビニの「ざる蕎麦」のツユは、東と西で味が違っているのに対して、コンビニの「冷やし中華」のツユは全国共通なのだが、ひとつだけ違いがあって、東北、東海、中国、四国地区にだけマヨネーズが付いている。マヨネーズを付けるのは、名古屋のラーメンチェーン「寿がきや」が発祥で、これを全国のコンビニで実施してみたところ、上記4地区で定着したそうだ。

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