その噛み合わせ、大丈夫?
まさか不眠が歯科治療のせいとは! 歯の治療を受けるたびに、噛み合せがどんどんズレていき、その結果、不眠、頭痛、肩こり、腰痛……など全身に不調が及んでいく――。
前回紹介した衝撃の事実。眠りの女王ヒサコがいま通っている歯医者さんは、だいじょうぶかしら~!?
篠原裕之/しのはらひろゆき
「噛み合わせは、どの歯医者さんも一応、確かめます。赤い紙を噛んでください、と言われるでしょう」と篠原先生。
「カチカチカチ……と噛んでください」って言われるやつですね。
「そうです。この咬合紙の厚さは、たいてい30~50ミクロンを使っています。でも人間の感覚は20ミクロンくらいまでは、噛んだかどうかわかるのです。だからこの厚さでは、アバウトな噛み合わせしか確認できない、精度が低いのです。私は12ミクロンを使っています。今度、カチカチカチとやられたときに、“何ミクロン?”と聞いてみてください」
えぇ……? ちょっと聞きにくいです……。
「どうしてですか? 自分の体が調べられているんですよ? カバンを買うときに、これ何の皮?と聞いても、だれも怒らないでしょう? ぜひ、一度聞いてみてください」
は、はい。がんばって聞いてみます。
「あと、この咬合紙を片側の歯列だけに入れていませんか?」
たしか、片方にしか入れてなかったような……。
「それだと、入れてないほうは当然、浮きますよね。左右の歯列に同時に1枚ずつ入れて同じ高さにしないと、正しく噛み合わせをチェックすることはできません」
篠原先生が以前働いたことのある何軒かの歯科では、「噛み合わせは、少し低めに」というのが、常識になっていたといいます。
噛み合わせは少し高いと、ほかの歯よりも、ほんの少し早く当たる。するとそこだけ負担がかかります。患者さんから「少し当たる」「違和感がある」「痛い」ということになる。だから、そう言われないように、少し低めの噛み合わせにしておくのが賢い、というわけです。
「もちろん、ジャストがいいに決まっているのですが、片側だけに紙を入れてチェックしているから、よけいわからないのです。だから患者さんに“どうですか?”“どうですか?”とやたらと聞くんです。私はほとんど聞きません。だって見ていればわかるんですから。でも、患者さんは聞かれるのが普通になっているので、むしろ聞かれないと不安に思ってしまうのです」
ああ、なんだか全部、当てはまります。ちょっと不安になってきました……。
「総入れ歯を作り直したときに、“そういえば、私はこんなふうな面長だった”と言われることがあります。丸顔になっていたのは、歯の位置が低くなっていたせいだったのです」