昨年8月に発生し、74人もの死者を出し、133棟が全壊した広島市の土砂災害は、まさにその典型だ。
「この土砂災害は、1日経たないうちに240ミリ以上の大雨が降ったことで、閑静な住宅地が土石流に飲み込まれてしまったんです。土石流の速度は瞬間的に時速144キロに達していたとされ、特定できた死因の最も多いのが窒息死だったことが、その凄まじさを物語っています」(地元記者)

発生してからでは、到底逃げることは不可能。とはいえ、いつ、どこが崩れるかわからないと思われるが、広島土砂災害の発生直前には、"異音"が確認されていたという。
「山のほうからドスン、ドスンという音が聞こえたとの証言がありますから、大雨が降った際に異音を聞いた場合は、いち早く避難するのがベターかもしれません」(前同)

そして、これは日本中の至る所で起こりうることだと話すのは、冒頭の防災ジャーナリスト。
「土の吸収力が飽和状態に達すると起きるのが、土砂災害。ですから、土砂災害はどこでも発生しますし、ましてや急傾斜地なら、その可能性は高まります」

その「急傾斜地」とは、「傾斜角度が30度以上で5㍍以上の高さの崖」とされ、全国で約33万か所が「急傾斜地崩壊危険箇所」に指定されている。
都道府県別にその数を見ると、最も多く抱えるのは広島(約2万1900か所)。次いで、山口(約1万4400か所)、大分(約1万4200か所)、島根(約1万3900か所)、兵庫(約1万3500か所)、高知(約1万3000か所)の順になっており、意外にも西日本に集中している。

では、東日本が安全なのかというと、そうではない。山が少なく、見渡すばかり平野の関東でも、意外に急傾斜地が多く、神奈川では7100か所に及ぶ。
そして意外や意外にも、ビルや住宅が立ち並ぶ東京23区内にも危険箇所は多く隠れているという。
「中でも港区は、急傾斜地崩壊危険箇所が集中した場所で、都内の危険箇所の2割がここにあります。しかも、六本木、赤坂、高輪、白金など、意外にも"お高い街"に危険箇所が集まっています」(前同)

ゲリラ豪雨や台風という、高頻度で起きる気象条件がもたらしうる、水没という最悪の結果。あなたの街は大丈夫だろうか。

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