スローカーブを素手で捕る!?

続いてチームの頭脳である捕手。野村克也、古田敦也、谷繁元信など、数多くの名捕手はいても、中嶋聡ほど体が頑丈な選手はいないだろう。
現在、日本ハムのバッテリーコーチを兼任している中嶋は、今年でなんと46歳で実働29年だ。
「重労働の捕手で、これだけ長年現役でいられるのは、とてつもないことです。体が頑丈すぎて、オリックス時代には星野伸之の投げたスローカーブを素手でキャッチしていましたよ」(夕刊紙記者)
まだまだ引退の二文字はなさそうだ。

続いては、難航を極めたのが一塁手。というのも一塁手は、強打の選手の指定席だからだ。
そこで今回は、本職ではないが、晩年は一塁を守っていた水口栄二を選んだ。
松山商業時代は、甲子園に出場。一大会における最多安打記録(19安打)は、今なお破られていない。
近鉄に入団後は、小技が上手い選手に成長。プロではシーズン最多犠打を3回記録するなど、玄人好みするツウな選手だ。現在、野球教室で講師を務める水口に話を聞いた。
「当時の近鉄はブライアントがいたりと凄すぎでした。あの打線の中に食い込むために必死でしたね。バントは簡単そうに見えて難しい。毎日、ひたすらバント練習をしていましたよ」

続いて職人気質の選手が多い二塁手。その中で選ばれたのは、松永浩美やイチローに続く2番打者として活躍していた福良淳一。
二塁手連続無失策守備機会836という偉業を成し遂げている。ところが、同時期の西武に辻発彦がおり、ゴールデングラブ賞を一度も獲っていないのだ。
そんな福良は現在、オリックスの監督代行として指揮を執っている。
「福良さんは本当に普通の人。本音は監督よりも教える立場にいたいから、恐縮してますよ。選手にもヘッドコーチと呼ばせていますから。麻雀が大好きで、選手にも勧めているんだけど、あまり乗らないみたい」(オリックス担当記者)
監督代行というのも、いかにもいぶし銀らしい。

強打の選手が守ることが多い三塁手は、ヤクルトの土橋勝征だ。眼鏡と、バットを極端に短く持つフォームがトレードマーク。日本一に輝いた95年は3番を打つなど、野村監督の信頼は厚かった。
「右方向への流し打ちは芸術的で、成績以上にいやらしい打者でした。笑うことも少なく、まさに仕事人ですね。実は、いぶし銀とはかけ離れた性癖の持ち主という話もありますが(笑)」(ヤクルト担当記者)

性癖はさておき、内野の要の遊撃手はどうか。華がある選手が多い中で、本誌のイチオシは近鉄の吹石徳一。俊足・堅守がウリで、規定打席には一度も到達していないものの、1000試合出場している。
「そんな準レギュラーの吹石ですが、二桁本塁打を3度も記録しています。80年の日本シリーズでは第2戦で逆転3ランを放つなど、パンチ力も魅力でしたね」(前出のスポーツ紙デスク)
娘は女優の吹石一恵。父と同じく、なくてはならない女優へと成長した。

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