安倍政権によるAIIB潰し

「習政権は、東アジアが対中脅威でまとまろうとも、チャイナマネーの威力で経済を切り崩せば、どうにでもなるとタカをくくっていたフシがある。その戦略が、経済の失速が目に見え始めたことで瓦解したのではないか」(自民党中堅議員)

中国事情に詳しい評論家の宮崎正弘氏が言う。
「現在の中国は、国家の統治機能が壊れる"二歩手前"といった状況です。12年から不動産バブルが弾け出し、先だっては上海市場が乱高下するなど、景気の失速は明らかです。また、各地で暴動も頻発しています」

それでも習政権が命脈を保てているのは、
「腐敗撲滅の名の下に汚職幹部の粛清を行い、庶民の喝采を浴びていることと、出所不明の巨大マネーで経済をかろうじて下支えできているからです」(前同)

日中攻守が入れ替わったのが、今年4月にインドネシアで行われた2回目の日中首脳会談だった。
「1回目とは打って変わり、習主席は笑顔を見せるなど和やかムードでした。これは経済が失速した中国側に、日本から対中投資を引き出す"下心"があったからです」(前出の通信社記者)

さすがは"なんちゃって反日"の国だけのことはあるが、安倍官邸もこのことはお見通しだったようだ。
「今年に入り、中国側からAIIB(アジアインフラ投資銀行)への参加要請が執拗にありましたが、安倍首相はこれを無視。逆に約13兆円のアジアへのインフラ投資を行うとブチあげ、"AIIB潰し"を宣言したわけです」(前出の自民党中堅議員)

元時事通信社ワシントン支局長で、外交評論家の小関哲哉氏が言う。
「中国は、あらゆる手を尽くして景気の下支えをしていくでしょうが、万策尽きたときは日本やアメリカに泣きつくはずです。安倍首相は、経済失速した中国が覇権主義をどう軌道修正してくるかに留意する必要はありますが、これまでと同様、静観の構えを崩さないのが賢明です」

日本VS中韓のバトルは今夏、転機を迎えようとしている――。

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