GDPはマイナス成長時代に

次に、我々の生活に大きく関わってくる日本経済については、どうか。全国紙経済部記者は、こう話す。
「"錦の御旗"であるアベノミクスで、デフレ脱却を目指していた安倍政権は、公的資金を市場に注入し、株価の上昇→企業収益の拡大→賃金上昇→消費拡大→景気上昇という好循環を起こすシナリオを描いていました」

確かに、民主党政権時代に、一時は7000円代にまで落ち込んだ日経平均株価を2万円台までに回復させた。だが、そのアベノミクスが、ここにきて行き詰まりを見せているのだ。
8月17日に、内閣府が発表した今年4-6月期のGDPはマイナス成長だったのだ。
これを"アベノミクスの限界"と見るのは、経済・労働問題に詳しい五十嵐仁・法政大元教授。
「安倍政権によって、円安を脱却したことは一部の輸出企業にとっては有益でしたが、その分、国内向け製品は原材料費が高騰し、物価が上昇しました。ただでさえ落ち込んでいた個人消費がさらに落ち込み、国内企業は悲鳴をあげている状況です」

ここ1年は、石油に代わる代替エネルギー、シェールガス潰しのための原油安の影響で、円安が相殺されていた。だが、現在は原油価格が底を打ち、値を戻し始め、この燃料費の高騰が、国内企業の懐事情に重くのしかかり始めた事情も影響しているという。

そんな状況の中で、さらに追い打ちをかけているのが、先日来続いている中国の上海株式市場の暴落に端を発した世界同時株安だ。
「これにより、日経平均株価は6日連続で下落し、一時は1万7000円台まで割り込みました。これまで、安倍政権は経済を立て直すことで国民からの信任を得て来ましたが、今では、アベノミクスで恩恵を受けた富裕層からも不安視する声が上がっています」(前出の経済部記者)

当の安倍首相は日本株暴落を前に、公的資金をフル出動。株価吊り上げに必死なのだが……。
「ただ、運用して株価が上がっているうちはいいんですが、今回のような暴落になると、一瞬にして運用資金がチャラとなる恐れも出て来ました」(前同)

そんな安倍首相を評して、米国の著名投資家ジム・ロジャーズ氏は「20年後を振り返ったとき、彼(安倍首相)が日本(経済)を崩壊させた人物だと、みなが気づくことになるでしょう」と、不気味な予言まで発している。

首相がよって立つ経済政策・アベノミクスの前途に、分厚い雲が垂れ込め始めたのだ。日本経済が立ち行かなくなると、煽りを受けるのは、もちろん我々の生活だ。
最後に、我々庶民の生活が、安倍治世下の今後3年間で、どうなるのか見ていきたい。

働く人たちにとって"地獄の日々"が待っていると予想する識者も多い。
「安倍政権は今国会で労働者派遣法、労働基準法を改定。それにより、労働環境は激変し、労働者には厳しい時代になっていきます」(全国紙社会部記者)

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