ここは通り過ぎるだけですが、死体遺棄現場ですよ」
といわれた草むらがあり、そのなんでもなさに寒気がした。殺したのは夫、殺されたのは妻。妻はその日、自分の命が夫によって断たれるとは、夢にも思わなかっただろう。その夫も反社会的な悪党などではなく、ごく普通の会社員だった。死、殺人、狂気、それらは本当に身近にあり、自分にもすべて起こり得ることなのだ。
さて。一応は無事にツアーを終え、落合ドライバーが電池式のお燈明を私と編集者に渡してくれた。事務所の2階に祭壇を設けてあり、そこにこれを備えてくださいとのこと。真っ暗な部屋には、いくつかの燈明だけが、人魂のように揺れていたのだが……。
心霊スポット巡礼ツアーを体験してふと思う。いつの間にか私も、霊感らしきものが芽生えてきたのか。修了書をもらい、微笑んだ。
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