「路線バス乗り継ぎの旅」マドンナの人選が微妙に80年代すぎるワケ!の画像
「路線バス乗り継ぎの旅」マドンナの人選が微妙に80年代すぎるワケ!の画像

ゆるくてヌル~い、脱力系番組の極み! 「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」(テレビ東京系)という番組が、老若男女を問わず爆発的な人気を獲得している。
にわかに人気沸騰した理由は、メイン出演者の太川陽介のしきり術のせいでも、同じくメイン出演者の蛭子能収の性格の悪さでもない。キーワードは各回のゲストである、賞味期限のきれかかった「マドンナ」たちにあったのだ!

豪華なひな壇芸人を集め、ときには海外の面白動画を買いあさり、“テレビ離れが視聴率低下の原因だ”なんだと頭を抱えるテレビ番組プロデューサーたちが一度は抱くであろう疑問、「ただバスに乗って旅するだけなのに、なんで視聴率がいいの?」の答えは、「80年代」という単語に隠されていた!?



■第一回、マドンナ=中島史恵
記念すべき第1回のマドンナは、シェイプUPガールズ中島史恵。現在は年商30億円以上の女社長なんだとか。

■第二回、マドンナ=相本久美子
TVジョッキーの司会をしていたころが懐かしい相本。現在も雰囲気が変わっておらず、妖艶な雰囲気は昔のままだ。

■第三回、マドンナ=伊藤かずえ
「不良少女とよばれて」「スクール☆ウォーズ」など、大映ドラマといえばこの人。この人といえば松村雄基と鶴見辰吾を思い出す仕組み。

■第八回、マドンナ=川上麻衣子
川上と聞くと、金八先生出演時代の下ぶくれ顔が浮かんできてしまう人は多かろう。故可愛かずみやいとうまい子と仲がよかったとか。

■第九回、マドンナ=芳本美代子
ミッチョンがこの番組に出たとき、うれしくなった人も多かったのでは。ミポリン、ナンノとともに黄金時代を過ごした元祖アイドル。

■第十一回、マドンナ=いとうまい子
「不良少女とよばれて」のヒロイン役でアイドルの仲間入りをした。しかし、彼女のデビューした年はアイドル不作といわれた83年組だった。

■第十六回、マドンナ=ちはる
決してかわいくない風貌、バラドルだった痛い過去、シャレオツでハイソな私生活を切り売りしている現在。ナイスです。

■第十八回、マドンナ=野村真美
おっとここにも渡鬼の申し子が。ドラマの脇役としては欠かせない女優さん。ワザが光る職人さん、とでも言いますか。

* * * * *
3泊4日で路線バスだけを乗り継ぎ、ゴールにたどり着くかどうかを見せるだけのこの番組は、テレビ東京系列の「土曜スペシャル」内の単発企画としてはじまった。現在では固定されているメンバーは、太川陽介と蛭子能収。この2人になったのは、単にスケジュールが空いていたから、ということと、安く使えるということだけだったのだろう。プラス、レギュラー化した頃から「マドンナ」と言われるようになった女性ゲストが1人加わる。

単発企画のせいか、人気が出てレギュラー化した現在でも、番組タイトルが変わる。そのユルさはやはりテレ東のなせるわざか。

タレントがダラダラ路線バスを乗り継ぐだけのユルい番組だった第1回。最初はタクシーを使ってもOK、高速バスもOK、なんならヤラセもOKだったようだが、第2回のマドンナ・相本久美子がガチンコでやるべきと声を上げ、現在のルールとなっていった。いまやガチンコのヤラセなし旅番組として知られるようになった同番組。路線バスが使えなければ歩くしかなく、スマホで情報収集するのもNG。

ただし、人気の理由はそのガチンコさではない。蛭子の、奇矯ともいえる言動と、それに対応する太川のマジギレぶりが話題を呼んでいるのだ。バスの旅なのに「疲れたからバスに乗りたくない」と叫び、地元の名産も一切食べずにハンバーグや揚げものを頬張る蛭子。とくに、リーダーである太川が決めたルート、行動に対しての文句がひどい。「それでちゃんと行けるの~」「オレ嫌だなそれ」など、必ずぼやきを入れる。視聴者は、太川の真面目ぶった優等生発言にイラッとしながらも、蛭子に怒りを覚え、そしてマドンナを愛でるのだ。

太川からしてそうなのだが、この番組の裏コンセプトは、「芸能人再生工場」である。相本久美子、伊藤かずえ、山田まりや、川上麻衣子、芳本美代子、いとうまい子、宮地真緒……。このマドンナの人選が、テレ東の妙を感じずにはいられない。いや、やはり予算がないだけなのか。こうしてまた、疑問を抱えつつ、いつの間にかテレ東にチャンネルを合わせる視聴者が増えていく――。


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