首相がお熱の2人の女性議員

「彼女は安倍首相と同じく保守路線を鮮明にしています。そのため、安倍首相と近く"イエスマン"に徹することができる。官房長官は朝夕の記者会見があり、内閣の重要なスポークスマンですから、稲田さんに白羽の矢が立ってもおかしくありません。彼女を抜擢することは、安倍政権の旗印"女性の輝く国"を象徴することもできますから、一石二鳥になりますしね」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)

ただ、この安倍首相のサプライズ人事案には、内閣や党幹部から異論の声が上がっているという。
「まず、菅義偉官房長官を切ることのリスクです。辣腕で知られる彼がいるからこその安倍政権。稲田さんには荷が重いでしょう。稲田さんは財務省の覚えがめでたいんですが、これが、党内の"反財務省派"のお歴々には面白くないんです。"稲田は(財務省に)取り込まれた"という風説も流れていますからね」(永田町関係者)

そこで出た折衷案が、「稲田官房副長官」だという。
「首相の"稲田愛"は強く、官房長官が無理なら副長官でというわけです」(前同)

ところがどっこい、裏の裏をいくのが永田町の常道。前出の浅川氏が言う。
「菅官房長官が少し前から"党務に戻りたい"と周囲に漏らし始めているんです。ですから、菅さんの意向次第では内閣改造で稲田さんが官房長官に大抜擢されるかもしれませんよ」

このシナリオが実行に移されれば、菅官房長官は党幹事長のポストにつく可能性が高いという。
「谷垣さんは、波風立てず党をまとめてきた実績は確かにあります。しかし、来夏の参院選を考えた場合、憲法改正に勝負をかけるうえでも、安倍政権としては是が非でも勝ちにいく必要があるわけです。そのためには党内をまとめ、野党の切り崩しを図る手腕が必要となりますので、菅さんはうってつけなんですよ」(前出の鈴木氏)

先だって党を割った橋下徹大阪市長率いる"維新橋下グループ"とのパイプも、菅官房長官が築いたとされ、橋下グループを取り込み、参院選を戦うためにも、"菅幹事長"は適任だという。いずれにせよ、党人事は稲田政調会長が台風の目になる模様だ。続いて、閣僚人事に移ろう。
「稲田さん同様、安倍首相の"秘蔵っ子"が丸川珠代参院議員です。今回、彼女の入閣は間違いありません。ポストは昨年9月の改造時に新設された"女性活躍担当大臣"が噂されています」(前出の自民党担当記者)

前出の浅川氏が言う。
「丸川さんは、安倍首相が選挙のときから面倒を見てきたお気に入りです。彼女はテレビ朝日出身ですから、女性進出を印象づけると同時に、政権と反目するテレビ朝日を牽制する意味合いがあるかもしれません」

首相の寵愛を一身に受ける女性議員がいる一方で、冷酷な仕打ちが用意されている向きも……。
「佐藤ゆかり衆院議員、片山さつき参院議員ら、かつての"小泉チルドレン"は見る影なし。小池百合子元防衛相にも浮上の目はありません。ただ、野田聖子前総務会長に比べれば、まだましかも……」(前出の自民党担当記者)

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