人生に役立つ勝負師の作法 武豊
いよいよ秋のGⅠシリーズが開幕です


9月13日で、サマーシリーズが終了。スプリントは、「アイビスサマーダッシュ」と「北九州記念」を連勝したベルカント。2000は、ダービーフィズ。マイルはスマートオリオンとレッドアリオンが同点優勝。騎手部門を制したのは指定された14レースの内、3レースで優勝したミルコ(デムーロ騎手)に決まりました。

この時期は、海外で騎乗することも多く、まだ一度も歴史に名前を刻んでいない僕としては、「今年こそは!」とひそかに優勝を狙っていましたが、結果はジョッキー部門の6位。ここからさらに技術を磨き、来年こそ優勝できるように頑張ります。

でもその前に、残り3か月あまりとなった2015年の競馬に全力投球です。まずは、みなさんが待ちに待った秋のGⅠシリーズ初戦、10月4日、中山競馬場を舞台に行われる「スプリンターズS」。パートナーは、冒頭で紹介した「サマースプリントシリーズのチャンピオン、ベルカントです。

前走、「北九州記念」は2枠3番から、5分のスタート。デビュー当時は逃げて勝ったこともあるベルカントですが、最初から、無理をして先頭に立つのではなく、前半は馬なりで行こうと決めていました。

逃げる。先頭についていく。中団で抑える。後方で待機する……作戦は幾通りもありましたが、前半は内で脚を貯めるのがベストと信じての選択でした。道中、右へ右へと悪い癖が顔をのぞかせたときは、一瞬、嫌な予感がしましたが、それも状態の良さでカバー。抜けだしたときのスピードは、「いつか、大きな勲章が取れるだけの素質を持っている」とデビュー当時につぶやいたことを思い出させてくれるものでした。

GⅠ初挑戦だった昨年は10番人気の5着。戦国ムードが漂う今年は、どの馬が1番人気に推されるのかわかりませんが、「次も豊に頼む!」とオーナー直々に騎乗依頼をいただいたこともあり、出来ることなら、ファンの方に評価された1番人気馬として、胸を張って出場したいと思っています。

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