好調狙い馬予想 薮中泰人
弱点解消で充実のベルカント


今年もスプリンターズSから秋のGⅠが始まる。春のスプリント王、エアロヴェロシティの出走はないが、同じ香港からリッチタペストリーが参戦予定。昨秋アメリカでスプリントGⅠを制し、今春のドバイ・ゴールデンシャヒーンの3着馬だ。初来日とはいえ侮れない1頭だろう。

しかし、◎期待は日本馬のベルカントだ。新潟で行われた昨年は3歳牝馬の身で5着と健闘。スプリンターとしての資質を見せつけたが、そのあとがいけない。

スワンS7着のあと、一息入れた今年の前半は12、13着の崩れよう。7月のCBC賞では右肩挫創で出走取り消しと運もなかった。
ところが、急激な立ち直りはその後だ。同じことをしていてはダメとばかり、陣営は坂路での負荷を強める調教。ラスト1F11秒台を連発するハード追いが功を奏して直千競馬のアイビスサマーダッシュを楽勝。同じくハードに攻めた北九州記念でも1分7秒3の好タイムで快勝した。

レース内容にも変化がある。右にもたれる癖があり、コーナーリングが上手くないタイプ。それが前走はインの好位から鋭く抜け出してきた。弱点が解消されたのは完全に勢いに乗ったということ。
体調もいい。前走後に短期放牧に出たが、帰厩後は9月6日に初時計。10日は坂路で併走調教と早くも攻め込む態勢を築き上げている。牝馬らしからぬ厚みのある馬体も現在の充実ぶりを物語るものだ。

相手本線に指名はビッグアーサーだ。前走の北九州記念でベルカントの2着。デビューからの連勝は5で止まったが、内容は劣っていない。流れに乗った勝ち馬に対して、中団の位置取り。4角から直線はスペースが開かなかった。ばらけてからの鋭い伸びを見れば、一線級とも十分に戦える。

実際、春の岡崎特別の勝ちタイムは同じ日に行われた高松宮記念に0秒1差劣るだけだった。この中間はさらに成長を感じさせる気配。1週2本の坂路調教をこなし、馬体にもたくましさを加えている。初重賞VがGⅠの可能性まである。

前哨戦のセントウルSを使った組では2着のウリウリが最有力だ。不利な大外16番枠から徐々に内に入れ、直線は馬群の中から鋭い伸び。前後半の3Fが34秒0-33秒8と逃げた勝ち馬に有利な流れだったから、ハナ差2着は価値が高い。

あとは4着のストレイトガールも前進必至のレース内容。8着に終わったハクサンムーンも今度はハナにこだわるレースで、変わり身が怖い。


(日刊ゲンダイ大阪記者)

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