固定費と流動費の劇的改善術

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社)の著者で公認会計士の山田真哉氏は、このようなマネー管理を「"お金を増やすゲーム"だと考えてください」と言う。どういうことなのか。
「毎月1回、収支残高がプラスかマイナスかをチェックしてほしいですね。面倒くさいと思う人も多いでしょうけど、数字のプラスマイナスで一喜一憂するのって、プロ野球の勝敗表と似てませんか? ひいきのチームの貯金が増えれば喜び、借金生活に逆戻りしたと言っては嘆いていますよね。そうして家計の収支を勝敗表とダブらせ、楽しみながら貯金するのが大事」

また、山田氏は貯金テクについて、こうも話す。
「毎日、5円、10円と細かく節約するよりも、1年に1回、大きい買い物を我慢するほうが結果的に節約金額は大きくなります」

そこで、まず見直したいのが固定費だ。言わずもがな固定費とは、住宅ローンや家賃、保険、通信費などのこと。固定費の節約は、「流動費」の節約と違って季節などに関係なく安定して削減できる。また、高額な固定費は、仮に収入が減った場合に、家計を強く圧迫する恐れがある。

固定費の中でも、保障内容をよく知らないまま加入している保険は早めに打ち切る決断が必要だと横山氏は力説するが、さらに、
「携帯電話は大手3企業ではなく、プロバイダー系の会社に乗り換えたほうがお得。最近は、携帯電話の端末を変えずに乗り換えられるケースもあります。私も、この乗り換えで月8000円だった携帯代が、今では1500円に。1か月に6500円も節約できています」(前出の横山氏)

1年では8万円近い節約になるというから驚きだが、一方で気になるのは長期割引などを利用しているケース。この場合、解約時に違約金が発生するのだが、
「毎月このような額が浮けば、違約金を払っても元を取れることが多い」(前同)

一方、流動費の中にも、効果的な節約術は多い。たとえば、市販されている節約用シャワーヘッドを風呂場のシャワーに取り付けるだけで、水量を少なくしながらも水圧を維持。その結果、水道代とガス代を合わせて年間4万円近くも節約できるという。

また、地下鉄や電車、バスの乗車時に、回数券や乗り放題券のほか、主に観光客向けに作られている周遊切符を利用するのも効果的。このようなお得な制度を使うことで、交通費が1~3割も削減できるのだ。

また、自宅の電気をLEDに切り替えるのも、効果が出やすい。リビングの蛍光灯1つを切り替えただけで、1年間で4000円以上も浮くというから、他の箇所もLED化すれば、さらなる効果が期待できる。さらに、職場や外出時に水筒を持てば、その分だけ飲料水へかけるお金を減らすことができ、1日150円削減できれば、1か月で4000円以上、年間で5万円近くも浮く計算になる。

流動費の中でも、欠かすことができず、なおかつ大部分を占めるであろう食費だが、前出の山田氏は次のように提案する。
「1か月単位で予算を決めて管理している人が多いと思いますが、期間が長くなると、どうしてもムラが出てしまいます。ところが、1週間単位で予算を決めてみると、意外にうまくいくものなんです」

1か月で4万円と決めるのは簡単だが、途中でなし崩しになることもしばしば。
しかし、1週間に1万円と決めれば、現状を把握しやすいし、一度断念しても、すぐに、「次の1週間を1万円でやろう!」と切り替えることもできる。

お金が貯まる思考法を身につけ、固定費を減らし、さらに流動費を削ることができたら、次に活用したいのが"ポイント"だ。

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