「人の一生は重き荷を負いて遠き道をゆくがごとし、急ぐべからず。不自由を常と思えば不足なし。こころに望みおこらば、困窮したる時を思い出すべし。堪忍は無事長久の基、いかりは敵と思え」
徳川家康の遺訓として有名な言葉です。
家康は子どもの頃に今川の人質になり、長じてからは織田信長、豊臣秀吉に頭を押さえられ、じっとガマンした末に天下を取った人物。そうした経験から出た、いかにも「らしい」言葉という気がします。
しかし、これは家康の言葉ではありません。この言葉が世間に広まったのはわりと最近で、明治以降。元幕臣が、家康直筆と称する掛け軸を東照宮に奉納してからです。その掛け軸に件の文言が書かれていたのですが、掛け軸そのものが元幕臣の偽造したものでした。
やがて元ネタも判明します。ある人物が、次のような言葉を残していたことが分かってきたようです。
「人の一生は重荷を負いて遠き道を超行が如し、急ぐべからず、怠るべからず。不自由を常と思えば足らざる事なし」
元幕臣はこれをアレンジして、家康の遺訓としたようです。さて、元ネタとなったのは誰の言葉?
(1)水戸光圀
(2)大岡越前
(3)上杉謙信
答え :(1)
出題:浜川卓也