北斗晶の乳がん告白は大きなニュースとなった。いや、社会現象になったといってもいい。あの告白以降、全国で乳がん検診の問い合わせや予約が激増しているという。

北斗晶ここにあり。あらためてそう感じた。

タレント「鬼嫁・北斗晶」しか知らない人にぜひ知ってほしいのは、彼女はプロレスラー時代から「人前での振る舞い」を誰よりも考え、人心をつかんでいたことだ。

90年代前半に女子プロレスに団体対抗戦時代が訪れ、そのときブレイクしたのが北斗晶だった。それまでは人気レスラーだったがトップではなかった。

しかし、対抗戦に興味を持った男性ファンaが、女性ファンが多かった女子プロレスの会場に大挙して駆けつける現象が起きたのだ。ここで注目を集めたのが「プロレス頭」が良い北斗だった。

試合内容はもちろん、マスコミを通じてのプロレス観の披露、試合後のマイクなど、「言葉」と「問題提起」で男性ファンも惹きつけた。

当時もっとも影響力があった「週刊プロレス」は、北斗晶を「女・猪木」と名付けプッシュしまくった。この時期、男子プロレスでは猪木がセミリタイヤしていたので北斗に猪木の幻影を追った男性ファンも少なくなかったのだ。

技が高度なレスラーはたくさんいたが、レスラーとしての振る舞い、存在感を見せつけるという意味では北斗晶は男女ふくめて断トツだったと思う。

要は「自分がどう見せてゆくか」という、自分の役割のことを完璧に考えていたのだ。超やり手である。そのあと芸能界でスターになってもまったく驚かなかった。

今回、北斗晶のブログにこんな記述があった。

《女性の12人に1人は乳癌になるとも言われています。(略)もしかしたら、それを大勢の人に伝えられる私だから乳癌に選ばれたのかも…そう思うしかありません。》

この文章。病気になったことすら「自分の役割」と考えている。相変わらず人前でのふるまいを意識している。人に勇気を与えるという役割意識。北斗の言葉で励まされた人はたくさんいただろう。乳がんのことをもっと考えようと思う人も今回増えた。

北斗はまたしても「問題提起」を見せてくれたのだ。その闘う姿勢を。

私は北斗晶の今回の振る舞いを、そう受けとめている。

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