日本人未達成の快挙を目指せ

まさに運命の分かれ道だったわけだが、
「王会長はコーチ陣に"柳田のバッティングには手をつけるな"と厳命。当時の秋山監督も"好きな球だけ打てばいい"と指示するなど、のびのびと野球をさせたことが柳田には合っていたようです」(前同)

188センチ、92キロの柳田は50メートル5.55秒の駿足、遠投125メートルの強肩の持ち主。その抜きん出た身体能力が相まって、トリプルスリーが達成されたと言っていい
だろう。
「打球の飛距離に関しては、日本人打者ナンバーワンでしょう。オリックスの糸井嘉男も"日本人で一番飛ばすのはギータ。バケモンだよ"と太鼓判を押しています」(民放スポーツ局ディレクター)

一方の山田は、180センチ、76キロとプロ野球選手として大きいほうではないが、50メートル5.8秒の駿足と、時速154キロを計測したスイングスピードの速さは大きな武器だ。見た目からは想像もできない長打力は、8月21、22日の中日戦で記録した4打数連続本塁打(プロ野球タイ記録)でも証明済みだろう。
「杉村繁チーフ打撃コーチとマンツーマンで行っている11種類のティー打撃は、今では山田の代名詞。三木肇内野守備走塁コーチとともに守備と走塁練習を徹底したことも、打撃に好影響を与えたようです」(スポーツ紙ヤクルト担当記者)

野球評論家の橋本清氏は投手出身の立場から、次のように話す。
「柳田のフルスイングを見たら、投手はビビりますよ。あの飛距離に確実性が加われば鬼に金棒。今後、ますます手のつけられない打者になるでしょうね。山田はリストが強く、体のバランスがいいので、ボールを遠くに飛ばすことができる。調子がいいときの山田は本当に穴がないというか、投手は、どこに放っても打たれそうな気がするんじゃないですか」

ともにシーズン前にトリプルスリーを目標に掲げ、見事に有言実行してみせた山田と柳田。
柳田が、
「あいつ(山田)は天才やと思います。自分とはレベルが違う。すべてが凄い」
と言えば、山田は、
「柳田さんはオーラが出てました。打ちそうな雰囲気が凄かった」
互いにリスペクトし合っていることが伝わってきて、なんとも微笑ましい。

前出の橋本氏が言う。
「山田と柳田には、まだ日本では誰も達成していない40本塁打・40盗塁"フォーティ・フォーティ"を目指してほしい。2人とも若いし、可能性は十分にあると思いますよ」

若武者2人の頂上対決はまだ始まったばかりだ。

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