建築Gメンら識者が教える「危ない偽造工事マンションの見抜き方」の画像
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「施工・販売が業界大手の三井グループで、県内最大級の大型ショッピングセンター『ららぽーと横浜』もすぐ隣。中庭に噴水広場があり、図書館や託児所も完備している。2006年にこのマンションに入居したときは、妻も子どもも大喜びだったんですが……」

こう肩を落とすのは"傾斜マンション"として有名になった神奈川県横浜市都筑区の『パークシティLaLa横浜』に住むAさん(50代・会社員)だ。
3000万~6000万円で売りに出された、全705戸の巨大マンションの一部が、施工不良で傾斜しているという前代未聞の今回の騒動。傾きが見られたのは、4棟からなるマンションの西棟だった。
「原因は、基礎の杭(くい)を完全に打ち込んでいなかったのにもかかわらず、打ち込んでいたかのように偽装していたことと、杭を補強するセメント量が予定よりも少なかったことです。現在も調査中ですが、西棟だけでなく、他の3棟にも同じような問題があり、今後、西棟同様に傾いてしまう可能性があるんです」(全国紙社会部記者)

工事を行った旭化成建材の親会社、旭化成は住民説明会で、建て替えを表明したが、工事には3年以上の時間がかかるという。
「建て替えとなれば、その間の生活はどうなるのか。しかも、建て替えるには全住民の5分の4の賛同が必要となるんですが、これ以上の騒動を望まない住民の賛同が得られない可能性があり、スムーズにいくか不安です」(前出のAさん)

もし建て替えが行われない場合、倒壊が不安な住民は、マンションを売って出て行くことになるが、
「私のように40~50代で購入した住人は、年齢的に次のマンションのローンを組める保証はない。しかも、今より不便な場所や小さな部屋に移らざるをえなくなるでしょうから、人生設計はガタガタです」(前同)

住民にとって、これ以上ない悪夢だが、これは決して対岸の火事ではない。
「旭化成は、今まで手掛けたすべての建築物に、こうした不正があった可能性があるとして、学校の校舎も含めた全国3000棟を調査するとしているんです」(前出の社会部記者)

しかも、ある大手建設会社の現場監督は「素人が杭打ちの偽装を見破ることは絶対にできない」と前置きしたうえで、「偽装工事の問題は旭化成に限らない」と警鐘を鳴らす。
「建築基準法は、監督官庁も業者の書類に不備がなければ通すという"性善説"に基づいているところがあるんです。なぜなら、杭打ちをキチンと岩盤まで通すことは、そう難しいことじゃない。深く打ったからって、費用や手間もさほどかからない。今回のようにそれでもやるのは、監督がヘボか、仕事を仕事と思っていないからだろう」

しかも「建った当初から傾いてしまうなどのケースはほとんどない」(前同)というから厄介だ。では、購入する前に、一般人が偽装工事を見抜く方法はあるのだろうか?

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