監督不在のままドラフト突入
あまりにも急激な流れは、10月22日のドラフト会議でも"異常事態"を引き起こした。
「巨人は監督が不在のままドラフトに臨んだんです。これは、ドラフト自体をボイコットした78年を除けば、現役引退直後ながら選手として日米野球に出場したため、不参加だった74年の長嶋監督以来、実に41年ぶりのことでした」(前出の専門誌記者)
ドラフトでは、育成選手も含めて大量16人もの選手を指名したが、
「中央球界で名が通る即戦力級の有名選手は皆無。世代交代、新陳代謝を見越した指名と言えば聞こえはいいですが、戦力のハンパ補強は否めません」(前同)
翌23日、由伸への就任要請があった。当初は、現役へのこだわりを見せていた由伸だったが、
「球団が内々に流した情報が元になったスポーツ紙の一面報道によって監督就任の機運が高まっていく一方、長嶋茂雄終身名誉監督に"次は高橋由伸君しかいない"とまで言われ、"外堀"を完全に埋められた格好」(前出の夕刊紙記者)
となったのだ。そして、冒頭に触れたように、26日の就任記者会見へとなだれ込む。息つく間もなく、由伸新監督を支える"内閣"の陣容も27日に発表された。
一軍ヘッドに村田真一前総合コーチを、投手コーチと打撃コーチに、尾花髙夫、内田順三のそれぞれ前二軍コーチを昇格させ、"原野球"を継承する一方、引退した井端弘和を内野守備走塁コーチに、二軍打撃コーチにOBの二岡智宏氏という同世代を配置し、コーチも若返りが図られた。
ちなみに、"ライバル"と目された川相ヘッドコーチは、来年新設される三軍監督に就任した。野球評論家の橋本清氏は、
「村田ヘッド、内田、尾花両コーチというベテラン勢が不慣れな由伸をサポートし、井端、二岡のフレッシュな面々が由伸を支えるという陣容ですが、一日も早く"ヨシノブ色"を出してもらいたいですね」
と期待を寄せる。

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