覇権主義の中国にはどう対応するのか!?
有名私立大学の政治学者は日本国憲法の現状について、こう警鐘を鳴らす。
「大規模自然災害が起きた際、どのように対処するかという規定はありません。11年の東日本大震災の際、憲法に非常事態条項がないことから、原発を政府が迅速にコントロールできず、当時の菅直人首相が電力会社に怒鳴り込むという醜態を晒してしまいました」
前出の浅川氏も、
「現憲法が時代に適さなくなってきているのは事実です。たとえば、私学助成金問題。これは、政府が特定宗教や教育機関にお金を出してはいけない、という憲法の規定に違反しているのは、第89条の【公の財産の支出又は利用の制限】を読めば明らかです」
施行から68年も経過しているため、制定当時にはなかった問題が噴出しているのは事実だろう。それを解釈の問題にして運用しているのが日本の現状だ。
「解釈次第でいかようにもなるため、法令や法案の審査をする内閣法制局が幅を利かせています。彼らは、憲法で規定される側の官僚なはず。そうした人間が憲法の解釈権を一手に握っているわけですから、合点がいきません」(自民党憲法調査会関係者)
基礎から憲法をおさらいすると、矛盾も多いことに気がつく。
ただし、改正反対に固執する人が多いのは、「安倍政権は第9条を改正することが本丸。軍国主義時代に戻るのでは」という主張が多いから。お次は、憲法最大のタブーである第9条について見てみたい。
憲法9条とは、【日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する】というもの。
これに付随した同第2項では、【前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない】と宣言している。
安全保障に詳しいジャーナリストの井上和彦氏は、現行の9条を一刀両断する。
「日本は平和憲法があるから安全が保たれているという主張はおとぎ話そのもの。平和憲法によって、日本は戦争を放棄したと叫んでも戦争のほうが日本を放棄してはくれません」
確かに、軍拡を進め、領海侵犯を繰り返す覇権主義の中国に対し「日本は平和憲法がある」といくら強調しようとも通じない。
「9条の前提となっている憲法の前文には、【平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの平和と生存を保持しようと決意した】とあります。
では、反日政策を執拗に繰り返す中国、弾道ミサイルで脅しをかける北朝鮮などは、平和を愛していると言えるでしょうか」(前同)
井上氏は、憲法9条の前提となる“前文が規定する世界”が崩壊しているのだから、9条は改正すべきだと説明する。
また、第9条2項を厳密に当てはめれば、現在の自衛隊は完全な“違憲”になるという主張も多い。
「それならば、自衛隊を解散して仮に中国や北朝鮮から攻撃されたとしても、なんら反撃せず侵略され放題でいいというのでしょうか。戦争放棄に縛られた9条を改正し、独立国なら当たり前の交戦権を手に入れるということも議論すべきでしょう」(前出・自民党議員)
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