戦争放棄を謳う国が世界に10か国もある
このほか、国際紛争時に、憲法によって不都合を余儀なくされたこともある。
「国際貢献が制限されているのも問題です。91年、湾岸戦争のとき、日本は9条のために自衛隊の海外派遣ができず、結果、130億ドルの巨額出費を余儀なくされてしまいました」(前出・政治部記者)
というのも、当時の海部首相は各国に反論できず、出費を飲んだのだった。
また、護憲派が金科玉条とする「世界唯一の平和憲法」というのも、事実に反するのだ。
「平和主義を謳った国は、世界中に数十か国ありますよ。“国際紛争を解決するための手段としての戦争放棄”だけでも、ハンガリー、イタリア、フィリピン、ウズベキスタン、カザフスタン、エクアドル、アゼルバイジャンと7か国もあります。日本だけではないんですよ」(前出・司法担当記者)
程度の差こそあれ、現在、平和主義条項を憲法の中に謳っている国は、国連加盟国の3分の2にも達する勢いだというから驚きだ。
これなら、紛争などなくなりそうなものだが、こうした事実がありながら、憲法改正反対を叫ぶ声が大きいのは、戦後教育も影響しているという。
「戦後日本を傀儡国とし、日本人から自立心を奪う目的で、GHQ(連合軍最高司令官総司令部)が教育基本法の作成に暗躍していたことが、明らかになっています」(前出・政治学者)
また、憲法作成にも米国側の思惑が反映されている。
「敗戦から半年後の46年2月、GHQ内の一セクションである民政局(GS)の職員を中心に、わずか十数人の手で10日余りの急ごしらえで草案が作成され、そのまま成立したのが日本国憲法なんです」(前同)
当時の日本は、敗戦に打ちひしがれ、GHQの意向にはまったく逆らえない。
「“押しつけの憲法”であろうがなかろうが、受け入れるしかなかった」(同)
というわけだ。
また、ある憲法学者によれば、GHQ案が“突貫工事”だったため、日本国憲法が合衆国憲法やリンカーン米大統領演説など、歴史的文書の“つぎはぎ”であることも明白だという。
「46年3月8日付のクリスチャン・サイエンス・モニター紙など“これは日本の憲法ではない……日本に対するわが国の憲法である”と報じています。日本独自の憲法ではないとアメリカが豪語しているわけですから、忸怩たるものがありますよ」(前出・憲法調査会メンバー)
長らく“不磨の大典”として、日本と日本人が、寄って立ってきた憲法。
「今日本外交は、中韓との軋轢や日米同盟のあり方など、厳しい環境に晒されています。このような状況下で、改憲をもって国際社会で新たな地位を築き、国民の安全を守るとする安倍政権が誕生したのは、時代の流れとも言えます」(前出・憲法学者)
安倍総理は憲法改正に踏み切るのか。日本の政治は岐路に立たされている。

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