超シンプルな「3つの改善策」
知れば知るほど恐ろしくなってくるが、前出の山口院長は「これらの眼の生活習慣病は、自分で治せる」と話す。山口院長が患者に指導して効果を上げている生活改善策は、いたってシンプル。
●よく寝る
●少食にして水分を摂る
●よく歩く
この3つを地道に継続するだけで、重度の黄斑変性症の患者の眼の黄斑部の出血が、すっかり消失した例も少なくないという。
まず基本は、しっかり寝ることから。1日6~7時間の睡眠は確保したい。
「現代人は、とにかく食べ過ぎの寝不足。睡眠が足りないと、健康維持に欠かせないレプチンというホルモンが激減し、男性の場合はグレリンが分泌されて食欲が亢進(こうしん)する。寝ないと太るんですよ」(山口院長)
空腹で眠れないなら、スープ程度をとって、とにかく寝る。やむなく遅い時間に夕食を食べたら、朝食を抜いてもよいという。
「悪循環は、まず肥満から始まります。食の欧米化が眼の生活習慣病を増やしていることは明らかです。健康的な食事の基本は和食です。和食が文化遺産に認定されたなんて、喜んでいる場合じゃない。絶滅の危機に瀕しているということでしょう」(前同)
適量の和食を食べることと、間食と夜遅い食事をやめることを心がける。山口院長によれば、「腹八分目」を守るだけで眼の血流が改善するのだという。そして、水分を十分に摂ることも重要。食事の前後は避け、特に午前中によく水を飲むようにしたい。
「コーヒーや紅茶、緑茶、ウーロン茶などは水分にカウントしません。カフェインを含むため、大量に飲むと利尿作用が強く、血液がドロドロになるので眼にはよくないんです」(前同)
眼は水分の多い器官だけに、非常にむくみやすい。よく歩くことで水分の代謝がよくなり、眼底がきれいになる。山口院長が示す目標値は「1日1万3000歩」だ。
一度に歩こうとすると挫折するので、通勤や休憩時間などを利用し、何回かに分けて歩こう。下記のチェックリストで、自分の眼の危険度を確認してほしい。

チェック

〈眼の健康状態〉〈全身の健康状態〉の項目に、1個でもチェックがついた場合は要注意。早めに医療機関で受診したい。
〈食習慣〉〈ライフスタイル〉は、半数以上にチェックがついたら要注意だ。
50歳を過ぎてから日々の習慣を変えるのは難しいが、それだけで恐ろしい眼の病気が予防できるなら、こんな安上がりなことはない。この機会に、大切な眼の健康状態に目を向けてはどうだろうか。

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