来年は日本に飛び火? パリ同時多発テロ「これだけの現地情報」の画像
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 11月13日午後9時過ぎ、花の都・パリは、突如として血塗られた街と化した。金曜日の夜に賑わう街のあちこちで、爆発や発砲が相次ぎ、わずか数時間で129人が殺害されたのだ。狙われたのは、サッカースタジアムやコンサートホール、繁華街にある飲食店など、いずれも人が集まっていた場所ばかり。コンサートホールでは、テロ集団が観客を人質にして立てこもり、治安部隊が強行突破して射殺する惨事となった。

 在パリの全国紙記者が話す。「警察とテロ組織による銃撃戦が各地で繰り広げられ、転がる遺体を収容できないほどの混乱に陥りました。“パン、パン”という発砲音が響き渡る中、おびえながらトイレの個室に隠れる人や血だらけのまま死んだふりをして凶弾を避けようとする人など、幸福な週末は一瞬で吹き飛んだんです」

 サッカースタジアムではフランス対ドイツという代表戦が組まれ、8万人収容可能なスタジアムには、フランスのオランド大統領も訪れていた。「テロ組織は、ここで数万人の観客を標的にしただけでなく、大統領までもターゲットにしたわけです」(前同)

 フランス政府は直ちに異常事態宣言を発令。パリ近郊だけで、1500人の軍隊を展開させる未曾有の事態に発展した。

 一方で、凶行は、すぐに過激派組織“イスラム国”(IS)によるものと判明した。テロ集団が犯行の際、アラブ語で「神は偉大なり」と叫んでいた他、翌14日の午後0時に、当のISが犯行声明を出したからだ。今年1月にも、ISによるテロがパリで発生し、12人が死亡したばかりではあるが、「だからといって、次のテロもフランスで起きるとは限らない、とは欧州での共通認識」(同)という。「ロシアがシリアを空爆した直後の10月31日に、224人が乗ったロシア旅客機が墜落。ISの犯行と分析された。彼らは、自分たちに敵対する行動を取れば、どんな国でも攻撃対象と見なします」(同)

 この記者の取材を受けたフランス人の中東情勢研究家は、こう分析する。「ISは現在、“路線転換”を進めているように見受けられます。彼らが行っていたのは、少し前までは近隣諸国を支配するための武力行為でした。しかし最近は、今回のテロやロシア機墜落のように、国際社会全般に影響を及ぼすテロを増やしています」

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