そうしたキツいスケジュールをこなして以降、天田選手が私のブッキングやマネージメントに対して「ノー」と駄目出しした経験はほとんどありません。逆に初めてのトライでは「大丈夫でしたか? 試合に対してお客さんは沸いていましたか?」とのプロフェッショナルな言葉を良く聞きます。色々考えるくらいなら、とにかくやって見よう! 天田選手も私も、根っこにはそんな考えがあるのでしょうね。

 天田選手とは数多くの挑戦を続けてきました。MMAルールへの挑戦(キック&MMA複合ルール)、シュートボクシングへの挑戦、中国への初遠征、小川直也選手との夢対決、キングオブコントへの挑戦などなど。天田選手の不滅のチャレンジスピリッツがある限り、この挑戦はまだまだ続いてゆくでしょう。

 現在、天田ヒロミ選手は日本のほぼ全部のメジャーキック団体に参戦しました。団体によっては様々なカラーがあるキック界で、いかに「天田ヒロミ」という名が別格であるのかを示すエピソードだと思います。

 そうした日本人選手のレジェンドでありながら、試合前にはいつもワクワクしている天田ヒロミ選手。「甘井さん、今度の○○選手は打ち合ってくれますかねぇ」と拳を交える瞬間を何よりも楽しそうに待つ天田選手。有名漫画「ドラゴンボール」では主人公、孫悟空が強敵との対戦を前に「オラ、ワクワクしてきたぞ!」という台詞を言うのがお馴染みですが、そうした毎日をリアルで送っているのが天田ヒロミ選手です。

 思えば、今、我々チャクリキの周りにはピーターやジェロムやサップなど多くの有名選手が居ますが、彼らとの友情にある根っこは、天田選手やノブ選手が拳を交えて、互いの敬意のうちに勝ち得た物だと、改めて気付かされます。少年漫画のような「対決→友情」の毎日。ファイティングスポーツの世界は本当に魅力的です。

「子供たちと遊ぶ時も、僕は上目線ではなくて五分に遊ぶようにしているんです。その方が僕も、子供たちも楽しいですからね」と常々語る天田選手。その気持ちがある限り、ワクワクするようなチャレンジスピリッツは今後も不滅でしょうね。

甘井もとゆき
PROFILE
1967年4月22日生まれ。ドージョーチャクリキ・ジャパン株式会社 代表取締役。オランダ・アムステルダムを本拠地とする格闘技道場の名門ドージョーチャクリキの日本代表。日本人選手のマネージメント、外国人選手の招聘、自主興行の開催などを通じ、ファイティングスポーツの世界に携わっている。
ドージョーチャクリキ・ジャパンHP:http://www.chakuriki.jp/
フェイスブック:http://www.facebook.com/motoyuki.amai

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