今回のテロと同様、警備が厳重な政府関連施設、スタジアム、美術館ではなく、“市井の民”を狙ってくる可能性もあり、ニッポンは危険な状況だが、安倍首相も黙ってはいない。「その罪を償わせる」という言葉通りの猛攻だ。「“地球儀外交”を掲げ、約60か国を歴訪している安倍首相ですが、今年に入ってからはG7だけでなく、トルコ、インドネシア、ニュージーランド、ベルギー、ポルトガル、サウジアラビア、中東アジア諸国等の首脳に対し、“対テロでの協力”を強調しています」(全国紙政治部記者)

 これで各国への根回しも十二分にできた、ということか。今回のパリ同時多発テロについては、「たくさんの市民の命を無残に奪う、卑劣なテロ」と、ISを糾弾し、「日本も米国もロシアも中国も中東の国々も、国際社会全体がテロとの戦いにしっかりと手を携えていく」と、“対テロ”でリーダーシップを取るように明言している。やはり自国民の人質事件は、許せるものではなかったのだろう。

「後藤健二さんらを殺害したとみられるISの黒い覆面の男、通称“ジハーディ・ジョン”も、米軍の空爆によって死亡したと発表されました」(通信社記者) だが、それで終わりという話ではない。「11月22日、安倍首相は訪問先のマレーシアで、いわゆる情報機関“国際テロ情報収集ユニット”を12月上旬に新設すると表明しました。外務省、防衛省、内閣情報調査室、公安調査庁などから、イスラム地域情勢に詳しい職員などを厳選。中東などの大使館に派遣したり、担当地域と行き来したりして、情報収集をするものです」(前出の政治部記者)

 政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。「菅義偉官房長官は、事あるごとに情報収集の重要性を痛感していました。国際テロ情報収集ユニットは本来、来年4月に発足予定だったものの、先の同時多発テロを受けて、前倒しで開設する形となりました」

 また一方で、官邸は“禁じ手”を繰り出そうともしている。「“共謀罪”の設立も検討されています。共謀罪とは、組織犯罪を“話し合って準備した時点でアウト”とする罪のこと。テロ対策の目玉として、谷垣禎一党幹事長、高村正彦党副総裁が旗振り役となり、法整備を進めようとしています」(前出の通信社記者) 水面下での駆け引きが続く「安倍ニッポンVS イスラム国」の戦い。平穏は、いつ訪れるのだろうか。

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