快進撃の理由…ハライチ・澤部、大御所芸人にも視聴者にも愛される「安心感」の画像
快進撃の理由…ハライチ・澤部、大御所芸人にも視聴者にも愛される「安心感」の画像

 トレンディエンジェルの優勝で幕を閉じた『M-1グランプリ2015』(ABC・テレビ朝日系)。ユニクロのCMが本戦よりも面白かったと好評だったNON STYLEや、審査コメントが的確でわかりやすかったと評判の中川家・礼二さんなど、出場者以外の芸人が評価を上げたことでも話題となりました。

 そして、今年の『M-1』で評価を上げた芸人として忘れてはならないのが、なんといってもハライチ・澤部さんでしょう。『M-1』と言えば、本戦のネタ以上に今後を左右すると言っても過言ではないのが、ネタ終了後のMCとのフリートーク。ここでの振る舞いは、今後他のバラエティ番組に呼ばれる際の指標になります。ここでうまくMCと絡むことができると、優勝できずとも仕事が増えると言われているほど超重要。

 しかし、いくらネタが面白くてもフリートークでスベってしまう芸人が多く見受けられてきました。2015年の大会では、スーパーマラドーナが少し光るものを見せることができたものの、その他は軒並み低空飛行。そんな中、テレビ出演の経験値が抜きん出ている澤部さんの安定感はここでもやはり群を抜いていました。

『2015タレント番組出演本数ランキング』でも、有吉弘行さんや坂上忍さんといった帯番組レギュラーを持つ売れっ子たちを押さえての3位ランクインとなった澤部さん。大物お笑い芸人とのカラミが多いことも、その要因のひとつでしょう。志村けんさんの『志村の時間』(フジテレビ系)のレギュラー出演をはじめ、『タモリ倶楽部』『水曜日のダウンタウン』『さんまのお笑い向上委員会』『とんねるずのみなさんのおかげでした』といった大御所芸人の冠番組に数多く出演。どんなムチャぶりに対しても必ずノリツッコミで対応していく漫才スタイル同様、イジられキャラとしてのレスポンスの良さと、打てば必ず響く芸人としての実力の高さが、多くの先輩芸人から愛され信用されていることが、ここにも現れていると思います。

 しかし、今年の大躍進の理由はそれだけではないはずです。注目したいのは、一般人感覚の感度が非常に優れているということ。バラエティ番組で芸人が多く集まると、何に置いてもまず「笑いを生む」ことを優先させるがゆえに、どうしても芸人独自のルールが発生しがちなもの。芸人にとってはちょっとしたムチャブリの範囲だとしても、視聴者にとっては素直に笑っていいのかわからなくなるような場面に、しばしば遭遇することがあります。

 例えば、今年3月に放送された『さまぁ~ずのご自慢列島ジマング』(フジテレビ系)において、さまぁ~ずの三村マサカズさんが出演者である谷澤恵里香さんの胸をつかむという珍事が起こりました。谷澤さんは特に嫌がる様子もなくオイシイと思っていたようですが、我々視聴者としては「これは本当に笑って良いものなのか……」とモヤッとしたのも事実。それに対し、澤部さんは先輩である三村さんに対して、「頭おかしいんじゃねぇの!? 誰か怒らないと!」と果敢にも厳しめのツッコミを入れたのです。この一言で、芸人と視聴者のモヤッとしたギャップが埋められて、どこかスッキリさせられたことが非常に印象的でした。

 売れっ子として活躍してもなお、我々一般視聴者の感覚とギャップのない澤部さんは、安心して観ていられる数少ない貴重な芸人。意外とキャラが被っているライバル芸人も見当たりません。ハライチとして悲願のM-1優勝は逃してしまいましたが、2016年も澤部さんの快進撃は止まらないはずです。

兼業主婦レオ子ポン
元雑誌編集者で、現在はフリーライターとして活躍している一児の母。趣味はパチンコと三代目J Soul Brothers。暇とあらばテレビに張り付く根っからのインドア派で、好きな番組は『ヒルナンデス!』。

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