相撲通で知られるラジオパーソナリティの大野勢太郎氏は、「理事長というポストは、大きな健康不安を抱えながらでは、とても務まらないと思います」と話す。「理事長は、常に相撲界全体のことを考え、さまざまな協会の仕事に忙殺されながら、自分の部屋の運営や弟子たちの指導をしないといけないわけで、とんでもない激務なんです。北の湖理事長も、本当に大変だったと思います」(前同)

 仮に九重親方が理事選に出馬しないとなると、水面下では、その浮いた“九重票”の取り込みに、これまで以上の激しいつばぜり合いが繰り広げられることになりそうだ。「次期理事長の本命候補といわれる八角親方ですが、実は理事再選すら確実ではないんです。所属する高砂一門は少数派閥で、もともと理事1人出すのがやっとの票しか持っていない。そこに今回、同一門から、高砂親方(元大関・朝潮)にも立候補の動きがあるといいます。九重票が浮くのであれば、八角親方としては当然、取り込みたいはず」(前出の別の大相撲関係者)

 昭和の大横綱の重病説すら政争の具になってしまうのが、現在の角界の緊迫した状況なのだろう。最後に、前出の大野氏はこう語ってくれた。「国民栄誉賞横綱で、今も根強いファンの多い九重親方の存在は、相撲界のさらなる発展のためには不可欠。親方がもし重病であるならば、まずは健康を取り戻すことに専念していただきたいですね」 数々の大記録と名勝負を見せてきてくれたウルフの完全復活を祈るばかりだ。

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