魔裟斗とKIDが再戦! いま、改めて格闘技界の名言&迷言を振り返る!の画像
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 魔裟斗と山本“KID”徳郁の二人が、2015年12月31日大晦日『NIPPON FIGHT』にて闘うことが発表された。二人が闘っていた、格闘技ブーム真っ盛りの2004年には、地上波のテレビ中継も入り、各団体は1年でもっとも注目されるマッチメイクを出し続けてきたが、そんなスター選手同士の闘いからは数々の名言や迷言が生まれている。大晦日の11年ぶりの再戦を前に、そんな彼らの残した言葉たちを振り返ってみたい!

●「次は火星人とでも闘うかな?」(ホイス・グレイシー)……2004年の『K-1 Dynamite!!』で、ホイスが曙を下しての発言。139キロの体重差がありながら、わずか2分13秒で手首を決めてのギブアップ勝ちに、ホイスは、「人間に不可能はないと証明できた」と饒舌におどけてみせた。対する曙は「あららと思っているうちに決められた。ホイスはうまいよ。知らないうちに目の前に足があるし」と呆然。前年大晦日の格闘技転向から、戦績は6戦6敗となったが、「K-1が試合をさせてくれるかどうかわからないけど、勝つまでやりたい」と、持ち前のポジティブさをみせていた。

●「さすが(KID)。東京帰ったら、また飲みに行こうな」(魔裟斗)…… 2004年、大晦日を前にした10月に、山本“KID”徳郁から、「大晦日、試合でもして日本を盛り上げましょう」と挑発を受けた魔裟斗は、同年大晦日の「K-1 Dynamite!!」で、KIDとK-1ルールで対戦。対戦要望を受けた際は、「こいつ、何言ってるんだろう?」と、立ち技での実績のないKIDに冷ややかな魔裟斗だったが、1ダウンを奪われるなど大苦戦。結局、判定勝ちし、飲み友達でもあるKIDに、リング上からマイクで上記のエールを送ったのだった。この試合は同大会中継での瞬間最高視聴率(31.6%)も獲得している。

●「東京ドームにお集まりの……あっ、大阪ドームだ。地元なのにすみません!」(武蔵)……2004年の「K-1 Dynamite!!」(大阪ドーム)で、元WWEのプロレスラー、ショーン・オヘアと対戦した武蔵は、2R44秒、左ハイキックで鮮やかなKO勝ち。試合後のコメントでも、「2回にハイで倒すとセコンドに言っていた。横綱相撲? そう見えていれば嬉しい」と極めて余裕しゃくしゃくのコメント。ところが、試合後のマイクでの挨拶では、上記の凡ミス。どこかパーフェクト・ファイターになりきれない武蔵が愛すべき素顔を見せたのだった。

●「ひとつだけ言います。K-1、そして、柔道、サイコー!」(秋山成勲)……2004年の「K-1 Dynamite!!」で、秋山成勲はフランソワ・ボタを下し、総合格闘家白星デビュー。上記は試合後のマイクでの一言。主戦場に、組み技中心のPRIDEでなく、「テレビでの露出が多く、柔道の普及になる」とK-1を選んだ喜びも溢れている。なお、この試合のセコンドには清原和博が付き、秋山の勝利に、「最高に嬉しいわ」と歓喜。こちらのコネクションからか、清原は翌年大晦日の「K-1 Dynamite!!」で、開会宣言を務めている。

●「今日、試合をするまで、総合格闘技をなめてました。どうもすいませんでした!」(瀧本誠)……2004年の「PRIDE男祭り」で、シドニー五輪柔道金メダリスト、瀧本誠が総合格闘家デビュー。元力士の戦闘竜と闘ったが、相手のシュアな打撃にやや押され気味。3R終了間際に小外掛けを決め、なんとか判定勝ちしたが、マイクで上記の言葉を述べた。コメントブースでは、「初めての打撃で記憶が飛んでる」と、その体感を正直に吐露。「ほとんど柔道の技術だけで勝ったのだから、今後が楽しみ」(作家の夢枕獏氏)など、期待する声もあったが、その後6年の格闘技生活で6勝5敗。2010年3月16日、引退を発表した。

●「顔に傷はないよ」(ルーロン・ガードナー)……2004年の「PRIDE男祭り」で総合格闘家デビューしたシドニー五輪アマレス金メダリスト、ルーロン・ガードナーが、吉田秀彦に判定勝ちして。「グラウンド勝負になると思っていた」という吉田の述懐通り、互いのベース競技から寝技勝負が予想されたが、試合は終始打撃でガードナーが圧倒。上記コメントを引き出す結果となった。「完敗です。再戦するにしても、時間がほしい」とする吉田の一方、ガードナーは、「吉田は寝技が得意だから、立ち技で勝負しようと思った」と真意を語り、決戦まで6週間、重点的に打撃を磨いた成果に満足気だった。

●「大晦日にね、判定? 駄目だよ! KOじゃなきゃ!」(五味隆典)……2004年の「PRIDE男祭り」で、ジェンス・パルヴァーに1RKO勝ちした五味は、マイクを取ると、表記のカッコいい一言。矢沢永吉のライブでのMC、「最後にバラード? 駄目だよ。ロックで終わろう」を意識したものだったとか。五味は2005年の同大会でも桜井“マッハ”速人にKO勝ちし、「大晦日は、やっぱり判定じゃなくてKOだと思うんですけど……」。前年より抑えめになったのは、「この1年かけたのに、言葉があまり流行らなかった」からとか。

<文・佐乃良朋/『シリーズ 逆説のプロレスvol.4』(双葉社)>

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