具が少ない雑煮はまだ分かるが、雑煮の“命”が入っていない雑煮もある。徳島の“うちちがえ雑煮”には餅が入っていない。三好市祖谷地区では、イリコダシのすまし汁に、具がイモと豆腐だけ。「この地区は平家の落人伝説が伝わる山間部で、昔は稲作自体が難しく、それで餅を入れなかったといわれます」(田沢氏)

マップ

 上の地図にもあるように、そもそも北海道と沖縄には正月を雑煮で祝う習慣がなかった。本州の各地の人間がそれぞれ持ち込んだため、雑煮の種類も多様だという。「お雑煮は、正月の三が日に食べるのが一般的ですが、秋田県では元日はお雑煮、2日はあんころ餅、3日にとろろご飯を食べる、というところがあります。また兵庫県伊丹市周辺では元日はみそ雑煮、2日はとろろ汁、3日に今度は焼き餅入りのすまし汁の雑煮を食べるそう」(矢野氏)

 知れば知るほどウマくなる“正月の風物詩”。最近では「松茸の味お雑煮」(永谷園)、「マルちゃんカップおだしのきいたおもちすうぷ」(東洋水産)といったインスタント型の雑煮も発売され、人気だ。年中いつでも食べられる!

 全国各地、これだけ違うお雑煮だが、「これは、あくまで大まかな特徴。同じ地方の人同士の結婚が普通だった昔と違い、今は故郷が違う人同士の結婚も珍しくありません。すると、あなたの出身地では丸餅でも、奥さんの実家が角餅だったら、その家庭は角餅になる傾向が強い。台所では、奥さんの力が概して強いものですから(笑)」(矢野氏) カーッ! 日本全国、どこでもカカア天下は変わらない、ってかあ!

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