新聞やテレビでは絶対に報じない! 沖縄基地問題「ドス黒い真実」

 1972年の沖縄返還以来、物議を醸してきた日米関係。大マスコミの報道と現地の声には大きな違いがあった。米軍普天間基地の移設問題に揺れる沖縄県名護市辺野古。ここから路線バスで30分も海沿いを走れば、島内随一の観光地、美ら海水族館がある。視界を空と海の青が覆い、そこかしこにハイビスカスの赤が目に入る。沖縄特有の海岸線の風景からは、現在、政府と“全面対決”している島とは到底思えない。現地取材の一環にと乗車したタクシーで、そんな感想を口にしてみると、「ウチナーンチュは対決しないさ。対決しているのはナイチャーでしょう」 と、ドライバーが笑って話してくれた。ウチナーンチュは沖縄県民、ナイチャーは他都道府県民の意味を持つ沖縄方言である。奇しくも、辺野古沿岸部埋め立て工事が再開されたばかりだ。なんとなく安倍政権の批判でも始まるのではないかと想像したのだが、話は思わぬ方向に向かった。

「基地のゲート前で声をあげているような人の中には、政治団体から日給をもらっているナイチャーがたくさんいるさ。だから対決しているのは、ナイチャーでしょって言ったの」というドライバーいわく、基地移設に賛成反対の立場以前に、沖縄県民の大部分は、基地のアメリカ兵に不満を訴えることに意味を感じていないのだとか。沖縄在住のフリージャーナリストがその事情を解説してくれた。「基地にいる米兵には何の決定権もないわけですからね。もし沖縄の人が不満を抱いているとしたら、その不満は永田町に対してであって、基地の人間に対してではありません」

 しかし、テレビで報道される辺野古の大浦湾に集まって基地移設反対の声を上げる漁船は、どう見ても内地の人間ではない。あるいは漁業従事者に限っては反対者が多いのか。「あの人たちはアメリカに雇われたバイトだともっぱらです。むしろ抗議目的で不法侵入しようとする人たちから、基地をガードする役目なんですよ」(前同)

 つまり、それが地元の漁師であれば、地元の海に船を出すのは当然。彼らが声を上げているところに、内地の活動家が我が物顔で入っていくわけにはいかない。逆にガードにはうってつけの役目だというわけだ。そして、このフリージャーナリストは声のトーンを落とし、さらに驚くべき話を打ち明けた。「米軍から3000万円もらってすでに基地移設を承諾した漁師もいるそうです。ただ、漁師の中にはお金を取り損ねた人もいたそうなんです。そこでさらにゴネたら、基地を監視する仕事が与えられたんだとか。この仕事の日給がなんと5万円。月収にすれば100万円を超えますよね」

 この収入が良すぎるあまり、肝心な漁に出る船がなくなり、魚が市場から消えたという笑い話がまことしやかに囁かれるのも、取材では聞くことができた。「それは笑い話ではなく、ある意味、沖縄の本質を衝いているかもしれない」とは、沖縄の取材経験が豊富な全国紙記者だ。「そもそも沖縄県民の仕事には、見えないヒエラルキーがある。そのヒエラルキーの最上位にいるのは、米軍基地の正規職員です。理由は……もちろん給料がいいからですよ。基地から仕事が来たら、本来の仕事が疎かになるという状況は、最低賃金の安い沖縄では、ごく自然な現実として受け入れられています」

 しかし、米軍基地に反対の声を上げる格好で、当の米軍基地から収入を得ていると考えると、なかなかしたたかな話だ。「その“したたかさ”を象徴しているのが、翁長雄志沖縄県知事です。2020年の春までに沖縄の美ら海水族館を擁する海洋博公園内に、USJがテーマパークを造るという話があります。この計画は、そもそも菅義偉官房長官が、前回の沖縄県知事選で、自民党推薦の仲井真前知事を応援する手土産として持ってきたものです」(前同)

 菅義偉官房長官は、第二次安倍改造内閣以来、一貫して沖縄基地負担軽減担当相を務める。いわば、辺野古移設問題の矢面に立つ政府の代表であり、影の総理ともいわれる実力者だ。「翁長現知事は、14年12月に知事に就任して以来、一貫して政府と対決の姿勢を取っている。4月に沖縄を訪れた官房長官の“粛々”発言を痛烈に批判し、移設に関しては耳を貸さなかった。政府側の本音はUSJがアメで、辺野古移設はムチと言えそうですが、翁長知事はムチを突っぱねながら、アメに関しては自らの力でもぎ取ったと我が物顔です」(同)

 知事当選以降の翁長知事の言動を振り返ると、辺野古移設は公約通り断固拒否。仲井真知事時代の埋め立て承認手続きに瑕疵があるとして、承認取り消しに踏み切った。一切聞く耳を持たないかに見える翁長知事が、これに対して、政府側は取り消しの効力一時停止を石井啓一国土交通相に申し立て、石井国交相は、取り消しの効力の停止を発表した。これにより、10月29日、約3か月ぶりに辺野古沿岸部の埋め立て工事は再開された。「基地移設反対の民意に推されて、翁長知事が選挙に勝った。それは事実ですが、民意にもいろいろある」と話すのは前出のフリージャーナリストだ。「普天間が返還されて一番困るのは、その土地を貸している軍用地の地主です。沖縄では、地主同士で株のように土地の権利を売買して、利ざやを稼ぐという事情もありますから」(前同)

 基地がなくなれば、そこは茫漠たる空き地。自分の土地が米軍基地として借り上げられることが、貸主に莫大な金をもたらすだろうことは想像に難くない。土地の話で、思わぬこぼれ話を聞かせてくれたのが、冒頭のドライバーだ。「小沢一郎さんが宜野座に土地を買ったみたい」

 宜野座と辺野古は目と鼻の先。「小沢氏には何か狙いがある」とドライバーは言う。かくも基地問題は複雑なのだ。「極端な話“飛行機がうるさい文句”の一言から金になる。基地の経済効果は本当に一口には言えません」(前出・ジャーナリスト)

 要するに土地を持っていなくても、“ゴネ得”というケースもあるともいう。「むしろ移設に際して、どういった利ざやが具体的にどれだけあるのか。政府に“辺野古ノー”と叫ぶ裏で、知事は探っている印象がある。先ほどの漁師の話と同じで、ゴネて利ざやを得る。そういった民意が総合的に反映された存在が翁長知事かもしれない」(前同)

 基地をめぐる利権問題に新たな視座を与えてくれたのは、著書に『女性兵士』(講談社など)があり、自衛隊にも詳しい軍事ジャーナリストの加藤健二郎氏だ。「実は軍事防衛上は普天間も辺野古も両方なくても問題ないんです。キャンプシュワブを残せば、海兵隊はグアムにいてもいい。海兵隊と米軍を一緒くたにしている人が多いのですが、一番大事な部隊は嘉手納の米空軍。米空軍が残る沖縄を中国が攻撃するとは考えにくい」(加藤氏) 政府が「辺野古移設が唯一の解決策」と焦れる一方、翁長知事率いる沖縄は、防衛上の危機より、USJに落ちる金のほうが現実的な話かもしれない。

 普天間基地移設の日米合意からすでに20年が経つ。翁長知事が県民のために剛腕を振るうのはいい。だが、普天間問題のそもそもの発端には、米海兵隊員3人による少女暴行事件がある。この根幹を忘れては、県民のための剛腕も空疎と評されてしまうのだが……。

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