15年11月に日本と台湾で開催された野球の国際大会「プレミア12」は、高視聴率をマークし、侍ジャパンに対するファンの関心の高さを再認識させてくれた。川藤氏が言う。

「逆転逆転のゲームが続いて、面白かったな。今回は若手中心のイキのいいメンバーやったけど、みんな、よう頑張っとった。あれを見て、“ああ、あのメンバーに入りたい”と思う人が増えてくれば、野球の底辺がもっと広がるやろな」

 だが、残念ながら、大会は準決勝で好投していた日ハム・大谷翔平を8回で交代させて、ライバル韓国に敗れるという結果に終わってしまった。黒江氏は、この試合の敗因は小久保監督の経験不足だと断言する。「投手交代のタイミングが悪かったと言うような人も多いけど、そうじゃない。おそらく小久保監督は大谷は7回まで、8、9回は則本でいく、と決めてたんでしょう。それでも9回は右と左の2人の投手にリリーフの準備をさせとかんといかん。2点差なんて、あっという間にひっくり返るから。小久保監督は則本と心中しようと考えたんだろうけど、万が一を考えるのが監督の仕事。でも7回までに、ダメ押しのもう1点を取っておれば……。実際に、そのチャンスはあったわけだけど、淡白な攻撃でチャンスを潰してしまっていた。まあ、どちらにしても小久保の若さが出たね」

 江本氏は、もう少し引いた視点から「プレミア12」を斬ってくれた。「WBCは収益のほとんどがMLBとMLB選手会に入る。これに対して、プレミア12は、日本球界の金儲けのためにやってる大会なんですよ。だから、メジャーは協力しない。本気でやってるのは日本と韓国と台湾ぐらいで、本当の意味での国際大会とは程遠い。日本の選手が一生懸命やるのは、メジャーのスカウトが見にくるから必死でアピールしようとしているだけのこと。国と国の代表同士が国旗を背負って戦う、なんて煽(あお)るのはやめてほしいね」

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