地下経済の金脈を潰される。それだけならまだ、なんとか生き長らえることもできよう。だが、「今までのような制裁では結局、中途半端な効果しか上げられないのではないか、というムードが漂っているのです」と、井野氏は説明し、さらなる策をこう話す。「この際、徹底的に金正恩個人を批判して怒らせ、暴発を誘う。それを契機に、一気に軍事行動を仕掛け、金政権を崩壊させてしまえばよいとの強硬論まで、関係各国の政府や当局内から出ています」

 金王朝をブチ壊すとなれば、“武力行使は禁止”の安倍ニッポンは、直接的には参加はできないのではないかと思うが、「日本は、今月から、国連安保理の非常任理事国となっています。水爆実験の当日、米韓2国とともに、安保理へ緊急会合を開くように要請しており、当然、この日米韓3国の意向が、国連安保理の制裁決議に反映されるとみられています」(政府与党関係者)

 さて、日米韓による、さらなる押しの一手は、どういう形になるのか。前出の辺氏が続ける。「安保理が検討しているのは、北朝鮮と取引する国との貿易・金融取引を一切禁じること。それから、北朝鮮の貨物船の寄港を全面的に禁止する措置です」

 こちらもまた、“接点を絶つ”との作戦のようだ。加えて、「国連憲章第42条に基づく海上封鎖も検討されています。“加盟国の空軍・海軍・陸軍による示威・封鎖その他の行動”を含む、武力による海上封鎖が可能になるものです」(前出の全国紙政治部記者) 物流を断たれたら、金王朝だけに金が絶たれる……という話か!?

 それだけではない。安倍政権はもう一つ、隠し玉を放つ手筈が整っているという。それが、小泉純一郎元首相だ。「12年末、安倍政権がスタートして以来、北側からも官邸周辺からも、何度か小泉元首相の特使派遣の話が論議され、期待されてきました。北朝鮮政府も“公人の立場でなく、私人の立場としての訪問でも歓迎する”“小泉元首相が訪朝されれば、手ブラでお返しするわけにはいかない”としていたほどです」(井野氏)

 実績のある小泉氏。02年、04年と連続して2回の日朝首脳会談を成し遂げ、拉致日本人5人を奪還した元首相を頼るのは、当然と言えるだろう。しかし、「原発、即ゼロで日本は甦る」と主張し、安倍政権をチクチクと突く小泉元首相との溝は深いとする向きもあるが、「いやいや。あれは、あくまで表面上の話ですよ。実際、昨年3月、安倍首相は小泉元首相と一緒に飯を食っています。確かに、“安倍君、原発ゼロにしてはどうかね?”“いや~、あはは”というようなやりとりはあったが、終始にこやかで、そんな不仲なムードもなかったようですよ」(ベテランの政治記者) 若かりし頃の安倍氏を幹事長に抜擢した“恩師”小泉元首相の力で、東アジアに平和が訪れるのか。それとも文字通り、北朝鮮をブッ壊す道を選ぶのか、今後に注目だ。

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