与党内からも「早く辞めろ」の圧がかかる高木大臣。ところが、当人はどこ吹く風だという。「年末年始は平然と地元で挨拶回りをしています。地元ではこれまでもたびたび“泥棒事件”の怪文書が出回っているため、本人は慣れっこなんですよ(笑)。甘利さんと違って、証拠がないから逃げ切れると思っているようですね」(前出の記者)

 それにしても、安倍内閣には情けないあだ名が冠された大臣が、いかに多いことか……。その先駆けとなり、ダブル辞任で安倍政権を吹っ飛ばす寸前まで追い込んだ“うちわ大臣”と“ワイン大臣”は、今何をしているのだろうか。まず、地元のお祭りに名前入りのうちわを配ったと糾弾され、公選法違反に問われた松島みどり氏。第2次改造内閣で法務大臣に初入閣したものの、秘書が政治資金規正法違反で在宅起訴された小渕優子経済産業大臣とともに、あっと言う間に辞任に追い込まれた。

 その小渕氏には、選挙区内の男性にお祝いとしてボトルワイン2本を贈ったとして、有権者への利益供与を禁じた公選法違反の疑いもかかっていた。「松島さんは信用回復に努めるべく、現在は精力的に地元を回っています。ただ、騒動を経て謙虚になったかといえば、“相変わらずのかまってちゃん”というのが党内の評判です。一方の小渕氏は所属する派閥(平成研究会)の長、ひいては日本初の女性首相として期待されていましたが、ワインたった2本で、バラ色の未来を棒に振ってしまいましたね」(自民党議員秘書筋)

 その小渕氏の後釜として経産大臣に就任したのが、宮沢喜一首相の甥である宮沢洋一氏。自身の政治資金団体が、広島市内のバーで政治活動費を支出していたためだ。「その後、衆院選を経て、第3次安倍内閣で、まさかの再任。改造内閣では任を外れたものの、すぐさま重要ポストである党の税務調査会長に横滑りしています。ところが、軽減税率を巡る公明党との調整では役に立たず、党内評価はダダ下がりです」(前同)

 また、第3次内閣で忘れてならないのは、複数の金銭疑惑によって電撃辞任した西川公也農水大臣だろう。彼が辞任を決意したのは、小学生の孫に「お爺ちゃん、悪い人なの?」と言われたためとか。なんともやるせない気持ちになる。「林芳正氏が後任の農水大臣となりましたが、後日、彼の車が11年前に当て逃げをしていたことが発覚。つまり、“当て逃げ大臣”です。もうこうなったら、閣僚スキャンダルのドミノ現象ですよ(笑)」(前出の全国紙デスク)

 この他、政党助成金の一部が政治家本人に渡ったとして、政治資金規正法違反の疑いがもたれている江渡聡徳前防衛大臣(第2次改造内閣)や、わざわざ深夜に釈明会見を開いた望月義夫前環境大臣(同)など、不祥事のタネは尽きない。「望月大臣の場合、日本にエボラ熱が上陸したのではないかと話題になっていたときだっただけに、深夜に会見すると聞き、緊張が走りました。ところが、内容は自身の収支報告書に事実と違う記載をしたという釈明。しかも、亡くなった妻のミスだと言い逃れたため、速報を見たネット市民の怒りで大炎上しました」(会見を取材した記者)

 前出の鈴木氏が言う。「与野党の勢力が拮抗している状況なら、こうした脇の甘さは命取りになりかねず、引き締めがあるもの。“安倍一強”の陰で与党政治家の緊張感が緩んでいる証拠です」

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