取り組み直前に気合いを入れるために、腕を広げてグッと腰を反らせるポーズは、まるで、あの荒川静香のイナバウアーのよう。そして、取り組みが始まれば、鋭い出足から、自分の体重の反動を利用して揺さぶるように寄る、がぶり寄りで相手を圧倒する。「初場所、鶴竜を相手に左を差し、右からおっつけ、がぶり寄りで土俵外に運び去ったのは、その典型。ただし、豊ノ島戦では、そのおっつけようとした右手を豊ノ島につかまれ、とったりを打たれ、あっけなくひっくり返っている」(前出の相撲記者)

 相撲協会の外部委員で漫画家のやくみつる氏も、そこを指摘したという。「(優勝後、テレビでのインタビューで)本人と話した際、“右の上手を取ったほうがより安定感があるのでは?”と聞いてみたところ、本人も否定しませんでした。ですが、琴奨菊ほど努力の人もいません。強い意欲で精進すれば、連続優勝は決して不可能ではないと思いますよ」

 ベテランの相撲記者も、こう続ける。「ともかく研究熱心。これはというアドバイスをされると、ノートと鉛筆を駆け足で取りに行ってメモ。相撲はハングリーさ、気力も大きい。今の琴奨菊にはすべてが兼ね備わっている」——春場所でもモンゴル勢を一蹴し、新横綱誕生だ!

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