石破、小泉に橋下!? 政権急展開「ポスト安倍」7人の腹の内

 閣僚のスキャンダルで盤石と思われた政権に綻びが。この機を逃さんと野心を秘めた男たちが動き出した!

「支持率が急落したら、野党に徹底抗戦の口実を与えてしまうところだった」 ある自民党幹部は安堵した表情で、こう漏らした。

 1月28日、大臣室での現金授受を認めた甘利明経済再生担当大臣が辞任。それにもかかわらず、共同通信の世論調査によると、内閣支持率は53.7%と、昨年12月に比べて4.3ポイント増加したからだ。2月3日からは国会での予算審議も正常化し、安倍晋三首相の高笑いが聞こえてきそうな状況だ。「すべては首相の演出が功を奏した結果。表向きは甘利氏の続投を表明しつつ、一方で1月25日には(甘利氏の後任となる)石原伸晃氏に会っていたのです。慰留したという既成事実を作り、それでも甘利氏が潔く辞任したという演出で、メガトン級スキャンダルの第一幕は首相の完勝に終わりました」(政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏)

 ところが、ホッと胸を撫で下ろしていたはずの政府.与党自民党の中で、今回の騒動を機に「ポスト安倍」を睨む動きが水面下で活発化しているという。「石破茂地方創生担当大臣が7か月ぶりに派閥の勉強会をスタートさせたんです。しかも、派閥に所属する議員以外にも声をかけています。明らかに、再来年に総裁任期を迎える安倍首相の次を狙った動きですよ」(自民党中堅議員)

 石破氏は昨年の9月、衆参両院の議員19人とともに石破派を旗揚げしたものの、「安倍首相に要請されて入閣していたため、派閥の動きは事実上、封殺されていた」(前同)という。その石破氏が派閥活動を再開したからには、それなりの理由がある。「スキャンダルを見事に封じた安倍政権も、ひと皮剥けば意外に脆い一面があることを見抜いているからに他なりません」(同)

 では、どこに安倍政権の脆さが露呈しているのか。まずは甘利氏のスキャンダル。大臣を辞任したとはいえ、疑惑そのものが消え去ったわけではない。「千葉県の建設会社が、再開発事業を巡って独立行政法人都市再生機構(UR)と補償交渉でトラブルになり、甘利事務所に口利きを依頼したとされるのが、今回のスキャンダルの根幹。甘利氏の秘書は、12回にわたってURの担当者と会い、“事務所の顔を立ててほしい”などと訴え、UR側から“これ以上関与されないほうがいい”とまで釘を刺されたことが明らかになっています」(民主党筋) 秘書は建設会社の総務担当者から頻繁にフィリピンパブで接待を受け、授受した現金の一部は政治資金収支報告書に記載されていなかったという。

 秘書に政治資金規正法違反容疑がかかる一方、それより深刻なのは、甘利氏が大臣室で受け取った現金の性質。これが口利きへの報酬なら、あっせん利得罪にあたる。事実、URに東京地検特捜部から事情聴取の要請があったようだ。「特捜部は報酬を見返りとした違法な口利きがなかったかなどを見極めるため、慎重に事実関係を確認するとみられています」(前同)

 当然、野党もすんなり矛を収めるはずはない。「数の力で、民主党による甘利氏の参考人・証人喚問は否決されるでしょうが、国会外で野党の調査チームが建設会社の総務担当者を招聘し、説明を求めることはできます。そこでダーティな部分が明らかになれば、甘利氏は安倍政権発足以来の重要閣僚だけに、政権の屋台骨が大きく揺らぎますよ」(同)

 その甘利氏の後任人事も、安倍政権の火ダネの一つ。政治評論家の浅川博忠氏がこう語る。「石原氏は、前回の安倍内閣で政調会長を経験した間柄。今回の石原氏の起用により、5~7回生の大臣待望組からは、“やはり友達でないと大臣になれないのか”という失意と同時に不満が広がっています」 のみならず、石原氏の過去の言動も“倒閣”の材料になりかねない。「福島第一原発をオウム真理教の施設にたとえ、“福島第一サティアン”と語った失言癖に加え、公務中のスキューバダイビング、大臣室での飲酒、委員会への遅刻など。石原氏の失言や失態で重要閣僚が連続辞任という事態になれば、世論も黙っていないでしょうね」(政治部デスク)

 というように、支持率は高水準を保っている安倍政権だが、一皮めくれば、炸裂寸前のスキャンダル爆弾と、石原氏という火ダネを抱えているのだ。「甘利ショックをきっかけに、“一強独裁”の潮目が変わる」(自民党の非主流派関係者)と言われる通り、“ポスト安倍”を巡って党内外の動きも急展開してきた。そのキーとなるのが、“次”を狙う7人衆だ。その筆頭は、派閥活動を再開させた石破氏だが、外務大臣の在職日数が戦後歴代4位に並んだ岸田文雄氏も、意欲をのぞかせる。「岸田さんはそもそも、タカ派の安倍首相とは政治理念を異とするリベラル派の伝統派閥・宏池会のリーダーです。派閥の会合では、“憲法9条自体は改正することを考えない”と、改憲が悲願の安倍首相と正反対の発言をしているだけに、このまま改憲に突っ走る安倍首相に対して心中穏やかではないでしょうね」(前同)

 その宏池会は、昨年の総裁選では、名誉会長である古賀誠元自民党幹事長が野田聖子氏を担ぎ出し、出馬寸前までいったという過去もある。「政権の支持率が40%前後となれば、野田、岸田という党内、閣内のポストを待ちながらも非主流であるリベラル派が、“安倍降ろし”に動き出す可能性はあります」(前出の浅川氏)

 浅川氏によると、石破、岸田、野田の3人衆に、自民党幹事長の谷垣禎一氏を加えて4人衆になると、「党内は一気に権力闘争の状態になっていく」が、その谷垣氏も腹に“一物”を抱えている。「昨年11月頃、谷垣さんがメディア関係者と会食した際、話の8割は安倍首相への愚痴だったといいます。愚痴は逆心に変わる。当然、チャンスが訪れれば、と考えているでしょうね」(自民党関係者)

 党内の不満分子は彼らだけではない。5番目の刺客として急浮上してきたのが、前出の石原氏だ。安倍政権の火ダネである石原氏が、同時に、ポスト安倍の台風の目になりそうだ。「昨年の5月頃、自民党総務会長の二階(俊博)さんが石原さんへ接近し、二階派と石原派“合併”の動きがありました。実現したら、宏池会を抜いて党内第3派閥になる巨大勢力です。今回の石原起用は、そうした動きを封じ込める首相の狙いがあったともいわれているのです」(前同)

 “お友達”からも、その座を狙われる安倍首相。しかし、この党内の5人衆、支持率5割超えの首相にとって代わるには、国民人気はいまひとつ。「かろうじて石破氏だけが合格圏内でしょうが、その他の議員は正直、地味な印象が拭えません」(同) となれば、名前が挙がってくるのは、小泉進次郎氏。「1月の沖縄県宜野湾市長選で辺野古移設反対派の連勝が止まりましたが、背景には、小泉氏が選挙に勝った現職候補の応援に駆けつけたからだといわれており、影響力が大きくなっています」(自民党関係者)

 この他、「安倍首相が今夏に衆参ダブル選を断行し、仮に自民党が議席を失う結果になったら……」(永田町事情通)という前提つきの話ながら、その場合、7人目の候補となるのが前大阪市長の橋下徹氏だという仰天シナリオも。「橋下氏が衆院選に出馬して、おおさか維新の会が議席を伸ばし、かつ、安倍首相が再来年の総裁選での再選が難しいと判断したら、かねてから親交を深め、改憲という目標を同じにする橋下氏へ政権を禅譲するシナリオが、現実味を帯びてくるかも」(前同)——相変わらず続く“安倍一強”だが、確実にひび割れは大きくなっているようだ。

本日の新着記事を読む

あなたにオススメ!本日放送の番組はコチラ!